ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第32回
作家によっても、
編集者によっても様々である。
最近割と締め切りを覚えていたのだが、久しぶりに催促されてこの原稿を書いている。
締め切りなど、連載が終わらない限り、毎回決まった日に来るのだから忘れようがないだろう、と思うかもしれないが、作家というのは元々想像力が豊かな方なので「今回はもしかして、締め切りが来ないのではないか?」という「可能性」を想像してしまうのである。
しかし、今はコロナウィルスの影響で仕事が中止になったり延期になったりして困っている人がたくさんいるのである。
それを考えたら「毎回1日の狂いもなく締め切りが来る」というのは神に感謝して良いレベルの幸福である。
よって、今回は締め切りに対し「よっ待ってました!」「出たー!!催促メール!」というポジティブな気持ちで向き合いたいと思う。
締め切りに対するスタイルは作家によって様々である。
「守らない」というスタンダードな型を守る作家が多い一方で「締め切りより数日早く仕上げる」という、トリッキーな動きをする者もいる。
また、守らない流も、2、3日遅延してクリンチで判定待ち、みたいな戦法もあれば、もはや「年単位」というデンプシーロールの使い手もいる。
また、編集者のスタイルも色々ある。
一番多いのが、締め切り当日、または1日過ぎてから「あの件どうなっている?」と聞いて来る編集者だ。
もっと早く聞いた方が良いのでは、と思うかもしれないが、締め切り前に催促すると作家は5億%機嫌が悪くなり「今からやろうと思ってたのに!」という義務教育未履修態度を取るようになってしまうのだ。
しかし催促により、締め切りどころか「そういう仕事が存在した」ということを思い出したりするので、多少作家がおむずがっても締め切り前に進捗を確認した方が事故は少ない。
また「作家と一緒に編集も締め切りを忘れる」という心中タイプもいる、この場合はどちらが先に思い出すかのチキンレースが始まり、両方崖から落ちて死ぬ、という結果になる場合もある。
つまり、作家と同じく、締め切りに対する几帳面さは編集者によって全く違う。
ちなみに一番几帳面なのは「漫画ゴラク」である、人は出版物によらない、とはよく言ったものだ。