ご好評につき会期延長「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展を小説丸スタッフが見てきました!

ご好評につき会期延長「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展を小説丸スタッフが見てきました!

 作家・伊集院静さんのエッセイ集『旅行鞄のガラクタ』の刊行を記念して、昨年12月から開催されている「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展。ご好評につきこのほど、2月28日(火)まで会期の延長が決定しました。会場には、本書に登場するスペイン、フランス、スコットランド、エジプト、中国など、世界各地の旅先から作家が持ち帰った品々が展示されています。
 そうと知ってはじっとしていられない、小説丸乗組員えむことわたしムロコシが、乗組員おーことオオキとともに、会場のようすをのぞいてきました。そのもようをリポートします。


 会場は、小学館ビル1階ロビー。わたしたちの仕事場がある建物です。
 待ち合わせ場所にちょっと遅れて到着したわたしは、まず気づきました。オオキのようすがいつもと違います。
(着ている服とか靴がなんだか気合い入ってない? え、髪も切ってる?)
 それとなく訊ねたところ、「そりゃ、伊集院さんのお名前が入った展示なんだから、失礼な格好じゃまずいと思って」といった答えが。いったいどんな展示なんでしょう。わたしたちは会場にむかいました。

「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展へのルート

 ここで会場までの行き方をおさらいしておきましょう。場所は東京・千代田区、地下鉄半蔵門線・都営三田線・都営新宿線が乗り入れる神保町駅が便利です。駅に着いたら「A8出口」をご利用ください。そこから地上に出ていただければ、会場は目の前です。ご観覧は無料、事前予約なども要りません。(オオキが気にしたドレスコードなんて当然ありません)気軽にお立ち寄りいただけます。
 
 では、さっそくなかに入ってみましょう。
 なにやらたくさんの品々がずらりとガラスケースに並び、旅先での写真もパネルになって何枚も飾られています。わたしはまずある1枚のパネルに目を奪われました。瀟洒な室内で机にむかう伊集院静さんが、なにか執筆されています。説明書きによれば、定宿で撮影された1枚のようです。わたしは思わず声に出して言いました。
「パリに定宿があるなんて、さすが伊集院さんですね」
「ヨーロッパ取材中は、このホテルで連載原稿とか書かれているんだろうね」
 隣でうなずくオオキもパネルに目をむけたままつぶやきます。

「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展の会場

 会場では、なんと写真撮影もオッケーとのこと。わたしは、ガラスケースに並ぶ品々から被写体を探しました。
 スペイン北部「歓喜の丘」と呼ばれる場所で拾ったマツカサ、サンディエゴから持ち帰ったゴルフボール(伊集院さんの愛犬の噛み跡付き!)、ポルトガルのロカ岬で手に入れた灯台の置き物……なんだかどれもお宝のように思えてきます。
「素敵なものばかりなのに、なんで〝ガラクタ〟なんでしょうね」
「それはさ、たぶん伊集院さんの〝大人の流儀〟でしょう。〝つまらないものですが〟って言ってお歳暮贈るのとかといっしょじゃない? ……ちょっとちがうか」
「うーん……」
「でも、そういう大切な思い出がつまった〝ガラクタ〟が、ムロコシさんちにもあるんじゃない?」
「あ、言われてみればありますね。ニューヨークに泊まったときホテルでもらったスノードームとか、バンコクの雑貨屋でお店のおじさんがくれた鉛筆とか……」
 
 この日、数ある展示品のなかからわたしが撮影したのは、「キリンの木像」です。『旅行鞄のガラクタ』によれば、アフリカ・ケニアを訪れた際に奥様が購入されたものだそうです。これがとてもかわいい!

キリンの木像

「それにしても、ケニアまで行かれているとは……」
「ケニアが主な舞台の長編(『アフリカの王』)も書かれているからね、伊集院さん」
「なるほど」
「フランスやスペインの品は、やっぱり『美の旅人』シリーズの取材のときとかかなぁ。そうだ、スペインは『白い声』っていう小説の舞台にもなってたはず」
「やけに詳しくないですか」
 わたしの質問をよそに、そのときオオキはある展示物を真剣なまなざしで凝視していました。「キリンの木像」の横に飾られたちいさな置き物です。
「どうしたんですか」
「ん? いや、まさか実物をこの目で見られる日が来るなんて、と思って……」
 オオキの話によれば、学生の頃に読んだ伊集院さんのエッセイ(『神様は風来坊』所収「蛙の声」)にこの「三本足のガマの置き物」のことが少し書かれていて、「いまでもすごく印象に残っている」とのこと。もちろん本書『旅行鞄のガラクタ』でも、その経緯が詳しく綴られています。
「ムロコシさんもちょっと運気をもらっといたほうがいいよ、これギャンブルのお守りだから」
(わたし、ギャンブルしないけど、でも運気は上げたい! 担当した本、売れてほしい!)

伊集院静さん
プレオープンには、伊集院静さんご本人もご来場されました
(撮影/太田真三)

 会場には、ほかにも素敵な〝ガラクタ〟がここでは紹介しきれないくらいたくさん並んでいます。さらに、伊集院静さんの貴重な直筆原稿やイタリア取材時の映像、小学館からの刊行物もご覧いただけます。『旅行鞄のガラクタ』を読んだあとはもちろんのこと、わたしもそうでしたが、読む前でもたのしめる展示じゃないかと思います。
 会場のある神保町は、書店や古書店が多く建ち並ぶ〝本の街〟です。お腹が減ったらおいしいお店もいろいろありますよ。2月末までの平日、お近くにお越しの際は、ぜひ「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展にお立ち寄りください。
(最後までお付き合いいただき、ありがとうございました)

「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展
 
会期:2022年12月2日(金)2023年2月28日(火)
▶︎開場時間:9時30分~18時
▶︎休館日:土・日・祝日、12/29〜1/4
会場:小学館ビル1階
(東京・千代田区/地下鉄「神保町」駅A8出口直結)
MAP
*観覧無料 *事前予約不要 *写真撮影可

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旅行鞄のガラクタ

『旅行鞄のガラクタ』
伊集院 静

新川帆立さん『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』
レベッカ・ソルニット 著、川端康雄、ハーン小路 恭子 訳『オーウェルの薔薇』/英国人作家ジョージ・オーウェルの生涯と思想を探る