◎編集者コラム◎ 『鴨川食堂ごちそう』柏井 壽
◎編集者コラム◎
『鴨川食堂ごちそう』柏井 壽
かたつむり、最近見かけなくなりましたね。私が子どもだった20年ほど前には、学校の帰り道や、公園にある紫陽花の葉っぱにくっついていたのですが……。梅雨になると、毎年かたつむりのことを思い出します。
さて、梅雨まっただ中の6月7日、柏井壽さんがご執筆された「鴨川食堂」シリーズの第8弾、『鴨川食堂ごちそう』が発売になります。もうシリーズ8巻目か~! と感慨深いです。毎度同じような気持ちになるのですが、シリーズとして刊行できるということは、それだけ待ってくださっているファンの方がいらっしゃるということ。とてもありがたいです。
今作は、コロナ禍での食捜しとなっています。鴨川流・こいし親娘が営む食堂は京都にあるのですが、やはり以前と比べて人通りはぐっと減っているみたいですね。人が少ない京都にも行ってみたいですが、今は小説の中だけで我慢しましょう……。
思い出の味を求める依頼人の中で、印象深かったのは、息子を事故で亡くしたお父さんの話。子に先立たれるというのは、身を引き裂かれるような思いなのでしょうね。お父さんの心の叫びが、ひしひしと伝わってきます。
ですが、その物語をただ「悲しい」だけで終わらせないのが柏井さんです。流とこいしがどのように寄り添うのか、必読です。
坂本ヒメミさんのイラストもとても素敵で、どんどんパワーアップしております!
前作の7巻目より、こいしの目がパチリと開いているのがかわいらしいですよね。花火の意匠も、浴衣にピッタリ! 坂本さん、いつもありがとうございます。
梅雨はじめじめとして、苦手な方も多い季節かと感じますが、『鴨川食堂ごちそう』を読んで、ぜひスッキリしていただけたらと思います!
そういえば、かたつむりで思い至ったのですが、「エスカルゴ」はフランスでよく食べられますよね。たしか養殖などもあったはず……。日本であまりみかけないかたつむりですが、「養殖」もありなら「繁殖」もありなのかな? と思いました。最近見かけなくて、なんだかさみしいです。食卓ではなく、道ばたで見かけたいですね。
──『鴨川食堂ごちそう』担当者より
『鴨川食堂ごちそう』
柏井 壽