◎編集者コラム◎ 『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』柏井 壽
◎編集者コラム◎
『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』柏井 壽
幽霊や宇宙人は存在するか? という議論は今までたくさん繰り広げられてきました。私はどちらもいると思っていますが、とくに京都にはね、いるようなんですよ。幽霊というやつが。
「鴨川食堂」シリーズでおなじみの柏井壽さんの新作は、『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』。京都を舞台にした、幽霊も関わってくるちょっと不思議なあやかし譚です!
主人公は、英国人ミステリー作家のカール・エビス。京都の京洛大学に、日本文学の教授として招かれます。助手を務める九条葵は貴族の末裔で、何かとカールの世話を焼いてくれる人なのですが、まさに京女、と呼ぶのにふさわしい人物。ぶぶ漬けの話が有名ですが、彼女の本音と建前をきちんと見分けなければなりません。授業がない日には、カールの新作執筆の参考にと、二人は京都の街を練り歩いて創作の種を捜しています。そこで出合うのが、街中で起こる不可思議な現象。あの世とこの世の境目で霊に憑かれて肩が重くなったかと思えば、お地蔵様を撫でただけで、憑いていた霊がきれいさっぱり消えてしまうんです。ほかにも、竹人形が動いたり、狐が人に化けていたりとカールを驚かせる出来事がたびたび起こるのです。
京都にお住まいの方とそうでない方でかなり認識に違いがあるのかもしれませんが、京都では信じられていることのようです。京都に伝わる逸話を少しでも知りたい、という方がいれば、もしかしたら入門編として本書はぴったりなのかも……。
怪奇現象と呼ばれるようなものには一度も遭遇したことはありませんが、京都に滞在していれば、いつか不思議なことが起きるかもしれません。
『鴨川食堂まんぷく』と2冊同時刊行の『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』、どうぞよろしくお願い申し上げます!
──『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』担当者より