◎編集者コラム◎ 『置き去りのふたり』砂川雨路
◎編集者コラム◎
『置き去りのふたり』砂川雨路
小学館文庫『置き去りのふたり』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます! 編集業務を担当しました、A田と申します。
さてさて、本コラムの読者の皆さんは読書好きのかたが多いのではないか、と思うのですが……どういうきっかけで「次はこの本を読もう!」と決められるなることが多いでしょうか?
好きな作家さんの新作だから、タイトルにビビっときたから、あらすじを読んで気になったから、などなど。色々なきっかけや理由があるかと思いますが、本に限らず、昨今は友人や知人のおすすめ・評判を聞いて選ばれることが増えているのではないでしょうか。
このコラムを書く直前も、私は書店さんにいたのですが、横にいたお客さんが『この本、TikTok で紹介してる人がいて気になってた〜』とお友達と会話され、SNSでおすすめされていたというその本を購入されていました。(ちなみにその本、かつて私が編集した本だったので、心の中でめちゃくちゃガッツポーズをしました笑)
と、前置きが長くなってしまいましたが……実は私が本作『置き去りのふたり』の著者、砂川先生と出会ったのも、ある人からのご推薦・ご紹介がきっかけだったのです!(よし、話が繋がった!……繋がり……ましたよね?)
ご紹介してくださったかたは、弊社と砂川先生、双方ともに仕事上の繋がりがあるかたで「砂川先生の才能をもっと多くの人に知ってもらいたい」、という想いからご縁をいただきました。
そんなめったにない、縁ある「出会い」からスタートした本作ですが、しかして面白いことに、物語の始まりは〝みちかは喪服を持っていない。〟と、主人公・みちかとその想い人である空人との永遠の別れ、空人のお葬式のシーンからスタートします。
そしてお葬式では、みちかと同じく空人を愛していた太一の姿も描かれます。愛する者の突然すぎる死。あまりに現実感のない事態を前に、二人は空人の死を受け入れることができませんでした。しかしそんな中、二人のもとに一通の手紙が届いたことで、状況は一変します。なんと手紙には空人の字で「俺はふたりをいつまでも恨んでいるよ」と書かれていて——。最愛の人の突然すぎる死と、悲しすぎるメッセージ。彼はなぜ、死を選んだのか。
「この才能を埋もれさせてはならない」。そんな想いと出会いが幾重にも繋がり完成した、俊英が描く喪失と再生の物語を、ぜひ、お楽しみいただければ幸いです。
──『置き去りのふたり』担当者より
『置き去りのふたり』
砂川雨路