◎編集者コラム◎ 『賞金稼ぎスリーサム!』川瀬七緒

◎編集者コラム◎

『賞金稼ぎスリーサム!』川瀬七緒


 定年退職をして、今は編集部からいなくなってしまったベテラン編集者と「川瀬七緒さんに原稿を書いてもらいたい!」と意気投合したのは、5年前のこと。

 3人でホテルのレストランで打ち合わせをしたあと、すぐに物語のプロットをいただくことができました。プロットの段階で、物語はかなり詳細まで設計されていて、個性的な登場人物たちも完成度の高い状態で動き回っていました。件のベテラン編集者と顔を見合わせ、「面白い!」とガッツポーズをした日のことを昨日のことのように思い出します。

 発売が近づくと、なんとあの「王様のブランチ」から特集を組みたいという連絡が! 事件現場が焼け跡のためか、撮影のために廃墟スタジオが用意され、川瀬さんと「廃墟スタジオ……!」とワクワクしながら収録に向かいました。放送当日のスタジオではニッチェの近藤くみこさんも推薦をしてくださり、作品をますます広く届けられることを嬉しく思ったことを覚えています。

 そんな『賞金稼ぎスリーサム!』は、個性豊かな三人(くたびれた中年の元刑事×警察マニアのイケメン御曹司×謎の美少女ハンター)が真犯人を追う極上のミステリであるのはもちろんのこと、一見相入れない三人が、かけがえのない絆を築いていくところも読みどころのひとつ。遠かった人と人との距離が、少しずつ近づいていく過程を愛おしく楽しめるのは、他の川瀬作品にも共通する魅力のような気がします。

 文庫『賞金稼ぎスリーサム!』では、丹地陽子さんにカバーイラストをお願いしました。個性を全面に押し出した単行本の表紙から雰囲気をガラリと変え、キャラクターの凸凹感がおしゃれに描かれ、イメージも一新。そしてなんといっても、THE ALFEEの高見沢俊彦さんが、これ以上ないほどに贅沢なコメントをくださいました。せっかくなので出し惜しみせずここにも、掲載しておきます。

ハンターに元刑事に警察マニア!アンバランスな関係はTHE ALFEE級!

ぶっ飛び度はメタル級で面白さはアリーナライブ級でした!

高見沢俊彦(ミュージシャン、作家)

 第2作『二重拘束のアリア』も好評発売中。シリーズは第3作も予定しています。いちおしのシリーズ第1作を、文庫サイズで心ゆくまでお楽しみください。

『賞金稼ぎスリーサム!』写真

──『賞金稼ぎスリーサム!』担当者より

賞金稼ぎスリーサム!
『賞金稼ぎスリーサム!』
川瀬七緒
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