◎編集者コラム◎ 『有罪、とAIは告げた』中山七里
◎編集者コラム◎
『有罪、とAIは告げた』中山七里

生成AI、使ってますか? 毎日の献立を提案してもらったり、恋愛相談をしたりとさまざまな活用方法を耳にします。が、私はどうもAIを信じ切れずにいます。生粋のアナログ、もといアナクロな人間です。ちなみにWikipediaも信じていません。
さて進化し続けるAIをモチーフに、それが裁判官として導入されたら? というifに基づいて生まれたのが本作、『有罪、とAIは告げた』です。あらゆる証拠物件、供述をもとに罪と量刑を判断するのだから、データ分析に特化したAIにはぴったりの仕事、という気もします。しかし、ある事件の判決が「死刑」だったとして、それがAIによるものだったら、どう感じるでしょうか。本書はリーガルミステリでありながら、「人を裁く」ことの本質へと迫るヒューマンドラマでもあります。中山七里さんファンにはおなじみ、かの「静おばあちゃん」こと高遠寺静の孫である円が、本作の主人公としてその葛藤に向き合います。
中山七里さんに本作の執筆をお願いしたとき、まだChatGPTはアプリリリースされていませんでした。プロットを立て、いざ連載開始という段になってChatGPTが一般人でも使えるようになり、東京大学の学園祭ではAI裁判官による模擬裁判が行われました。ほんの一年ほどのあいだに、本書に描かれていることは、「SF小説めいた絵空事」ではなく、「一歩先の未来に起こり得ること」になってしまったのです。
このテーマには共感をいただくことも多く、早々にドラマ化も決定しました。(NHK特集ドラマ「有罪、とAIは告げた」、[BSP4K][BS]2026年・春(89分・全1話)放送予定)さらに、円シリーズ続編『被告人、AI』も刊行決定。こちらは1月28日発売です。
ところでこのコラムを執筆するにあたり、「AIをモチーフにした作品なんだから、コラムもAIに書いてもらっては?」と思い立ち、ChatGPTに相談したところ、出てきたのがこれ。
AIが司法に関わる日が来る──そんな未来が現実味を帯びつつある今、本作は私たちに〝正しさとは何か〟を突きつけます。編集しながら、何度も自分自身の価値観を見つめ直すことになりました。
いやあ、なんか、いかにも無難な……。しかし本書を読んでもいないのに「それっぽい」文章を出してくるのはスゴイ、と思いつつやっぱり空恐ろしくもあり……。というわけで、担当編集本人が、このコラム、ちゃんと執筆いたしました。
──『有罪、とAIは告げた』担当者より





