ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第126回
インボイス制度のせいで
事務処理がKM(クソ面倒)な
確定申告シーズンがやってきた。
さらに各所に負担が増えた分、どこかに得が発生しているかというと、インボイスによって増えた税収より、インボイスに対応するための諸経費の方が遥かに多いという説もあり、今のところ「プラス」が見当たらないのである。
いよいよ何のために作られた制度かわからず、「庶民が右往左往するところを見たい」という動機で作られた「エスポワール号説」が最有力となっている。
そうだとしたら、庶民には理解不能なのも納得だ。
リアルでエスポワール号をやると何らかの法に引っかかるので、法の方を変えてエスポワるという発想は貧乏人には出てこない。
一部で「今までフリーランスは脱税しておりそれを正しく取り立てるのがインボイス」という情報が流れたため、会社員の中にインボイスに賛成派が現れ、一瞬「会社員VSフリーランス」の構図になりかけたが、これは誤りである。
確かに「税金を払わなくていいフリーランス」も存在するが、それは一般的に「無職」と呼ばれる、ありとあらゆるものからフリーな存在であり、収入がないから税も発生していないだけで所得があるフリーランスは会社員同様、所得税も住民税も支払っている。
しかし所得に含まれる「消費税」に関しては、所得が一定以下のフリーランスは支払いを免除されており、給与には消費税という概念がないので会社員もこれは支払っていない。
では所得に関係なくフリーランスから消費税を取るようにしたのがインボイス制度かというと「必ずしもそういうわけでもない」のが、事態を余計ややこしくしている。
つまりすでに所得が一定以上のフリーランスは事務が複雑化する以外そこまで大きな変化がなく、所得が少ないフリーランスほど影響を受けやすい、という点が「エスポワールみがある」と言われる所以である。
私は幸い、会社員とフリーランス両方やって両方ダメだったという経験があるため、会社員もフリーランスも労働という地獄でゴミ拾いをしている餓鬼にすぎないということが分かっており「餓鬼同士でケンカをするな、余計腹が減る」と思えるが、会社員しかやったことがない人はフリーランスがどのような収支でどんな税金を払っているかなど知らない人も多いだろう。
余裕がない時は、自分と違う立場の人間が「敵」に見え、何か「ズルをしている」ように見えるものだ。
だが、餓鬼同士が殴り合い、餓鬼から搾取している大元に怒りが向かないというのは思うつぼなのである。
しかし、ほどなくしてインボイス制度の2億倍わかりやすく多額の裏金をポケットに消すイリュージョンを見せてくれる議員が続出したため、現在フリーランスも会社員も等しく怒りが政治の方に向かっており、同士討ちが終わったのだけは良かったと言える。