ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第169回

AIに漫画のネタを出させたところで、頼んでもないのに「これ使っていいよ」と言い出す親戚のおじさんレベルのことしか提案せず「貴様は本当につまらん奴だな。だがお前みたいな奴がいつもクラスの人気者なんだ」と激怒している内にネタが思いついたり思いつかなかったりする程度である。
それよりもAIは私の「本業」での利用価値がある気がする。それが前回も言った通りの「不幸ソムリエ」だ。
不幸ソムリエから長年愛され続けている老舗の味と言えばFXで大損した人を代表とした「欲をかいて失敗した人」である。
これは不幸に詳しくない人間にもわかりやすい味であり、テーブルワイン的存在として親しまれている。
私ももちろん好きだが、それともう一つ「残酷な不幸」も好きである。
光の不幸ソムリエからは眉を顰められるし、流派によっては異端者審問にかけられるのだが、私は頑張った人が失敗するのも好きなのだ。
ただ失敗理由は、他人の妨害や極端な不運であってはならない、頑張ったけど実力勝負でダメだったという清々しい失敗に限る。
欲をかいた人間の不幸がわかりやすい甘露なのに対し、こちらの不幸は辛口すぎて飲めたものではないという人もいる。
そして漫画界ではそういう不幸が日常茶飯的に起こっている、というか私自身が何回も起こしてきた。
とてもそうとは見えないかもしれないが、私も常に頑張って描いてはいるのだ。しかし毎回ただの実力不足により連載終了するのである。
1度ぐらいこちらのせいではなく相手の都合で終わったことがあってもよさそうだが、担当都合による休載は3回、担当の失踪も3回経験していても、先方都合による打ち切りだけは未経験なのだ。
私だけがキリリと爽やかな不幸を世間に提供しているのはおかしいので、同じような不幸を探しているのだが、これがなかなか見つからない。
「打ち切り漫画」で検索すれば大量に例が出てくるだろうと思うかもしれないが、打ち切り漫画として名が残っている漫画は「誰も知らないことで有名」「ブス界一の美女」と言っているようなもので、その時点で打ち切り漫画とは言い難いのだ。
誰にも知られることなく、ひっそり生まれ音もなく死ぬ儚き命が真の打ち切り漫画なのである。
熟女好きが「40歳以下が好きな奴はロリコン」と言うように、アマゾンレビューが二桁になった時点で私の中では打ち切り漫画ではない。
だが何せ誰も知らないため、見つけるのが非常に困難なのだ。
見つけようと思ったら、検索などという雑な作業では無理。単行本発売情報から比較的短命で終わっているものをピックアップし、そこから作者のSNSなどを個別であたる、というQRコード決済戦争の時のPayPayぐらい草の根活動をしないと見つからない。
さらに漫画界では失敗情報が見つかりづらいのに対し、成功情報は目につきやすいのだ。
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