ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第168回

この原稿を書いているのは9月2日だが、締切は8月31日である。
締切まであと1年近くある原稿の催促をしてくるなんていくら何でもフライングが過ぎる、どうせお前も年明けをまたずに異動とか言い出すくせにと思っていたが、どうやら2026年の8月末が締切だったらしい。
つまり、何も変わらない焦りと苛立ちの日々だ。
話は変わるが、来年からまたYouTubeの収益化条件が厳しくなるらしい、より「職業ユーチューバー」になるのは難しくなるし、それで稼ぐのも難しくなるということだ。
どんな職業でも時代の流れ、そして胴元にルールを変えられることにより以前より稼げなくなるのはよくある話であり、私の本業もまさにその影響を受けている。
今更だが私の本業は「エゴサーチャー」である。
全盛期は1秒間に10回「カレー沢」でTwitter(旧名)の検索をかけ、肯定的な投稿なら即RT(旧称)し、投稿者から「あまりにも捕捉とRTが早すぎる」と恐れられていた。
1日62時間にも及ぶエゴサーチは辛くないと言えば嘘になるが、そのぐらいやらないと私を褒めている投稿は見つけ出せないし、この仕事に誇りを持っていた。
しかし、エゴサーチャーの大事な商売道具であるTwitter(旧姓)がXになってから風向きが変わってきた。
まず、紅ではなく漆黒に染まったXになってしまったし、様々な仕様変更が行われ、ついにエゴサーチに欠かせない検索機能まで改悪されてしまった。
今まで「カレー沢」で検索して出てくる腐れ野郎といえばほぼ私だけだったのだが、今では「レストラン扇沢で黒部ダムカレーを食べた」などの爽やかな投稿も引っかかるようになってしまった。
だからといってエゴサーチャーを廃業する気はないのだが、以前より成果が出なくなったのは確かである。
また、Xの仕様変更はエゴサーチのすきまバイトとしてやっていた漫画の仕事にも影響が出てくる。
自分のように出版社から宣伝広告費をあまり割いてもらえない作家はSNSでの宣伝がかなり重要になってくる。逆にいえば全く無名かつ「コミックしめさば」など聞いたこともない媒体で連載されている作品でもXでバズればワンチャンあった。
しかし、現在はアルゴリズムの度重なる変更により、宣伝漫画も昔ほどは広まらなくなってきた。もちろんバズらないのはアルゴリズムのせいではなく、漫画が面白くないからかもしれないが、他の作家もそう言っているから多分そうだと思う。
じゃあ、しめさば勢はどうやって読者に存在を知られれば良いのだという話になり、作家が漫画だけでなく、宣伝で疲弊するようにもなってきた。
このように、仕事は胴元のルール変更だけでなく、使っているツールの仕様変更にも影響を受ける。CLIPSTUDIOに明日から使用料を月1億にすると言われたら、少なくとも私はその日に廃業である。
しかし、時代が向かい風になる時もあれば追い風になることもある。
江戸時代から先祖代々細々とタピオカを商っていた家は、数度のブーム到来でかなり儲かっただろう。時代に見放されることもあれば、時代の方が追いついてくることもある。
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