ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第76回
前澤友作の誕生を
1970年ごろ
予言した漫画がある
このままだと本当に友作の話だけで終わりそうだし、私は今まで何回も「友作の話だけで終わらせてきた」前科がある人間である。
そろそろ執行猶予がつかなくなりそうなので話を元に戻すが、冒頭のポエムは、先日お亡くなりになられた水島新司先生の作品内のものである。
「山田はそんなこと言わない、岩鬼はわからん」と思ったかもしれないが、ドカベンではなく「銭っ子」という作品内の文言だ。
連載されたのは1970年ごろらしい。つまりこの時すでに先生は友作の誕生を予言していたということである。
この大予言に誰も触れていないことが不思議でならない。陰謀を感じる。
私はもともと漫画をあまり読まない上に世代が若干違うので、水島先生の作品は詳しくないのだが訃報を聞いた時は衝撃を受けた。
近年「今年はいろんな人が死んだな」と思うことが多くなったが、自分と同世代の女を選んだ結果FANZAのマイページが熟女ものだらけになるのと同じで、自分が年をとったことにより、自分が知っている人が死ぬという現象が増えてきたからである。
私も歌丸師匠が身罷った時に「ついにきた」と感じたが、予想通りそれ以降「あの人が」と感じる訃報が増えてきている。
作家も同様であり、今後自分の知っている作品を描いた漫画家が亡くなることも増えていくだろう。
最近で言えば、さいとうたかを先生の訃報も記憶に新しい。
両名の偉大さと言えば、単純に名作を残している、というのもあるが、それよりすごいのが、何十年も漫画家を続けていて、亡くなる直前や数年前まで現役だったというところだ。
それをいうなら、最近「たかを世代では?」と思しきパイセン方が交通誘導に立たれているのをよく目にするので、死ぬまで現役というのは、さほど珍しくないのかもしれないし、そういうパイセン方の誘導で、車が駐車場で進むことも戻ることもできないアゲハ蝶状態にされたとしても、その年で働いてらっしゃる時点で頭が下がるし、冷たい水をあげたい。
だがおそらく、パイセン方は働かないと生活が厳しいから働いていらっしゃるのだと思う。
国は「皆さん老後も働きたくてたまらないようなので、働くのに年齢の天井を設けないようにしたい」と、FGOですら天井を作るご時世に逆行する主張をしているが、それに対して国民の反応は当然「国が国民の老後を保障できないからだろ」であり「働かなくて済むなら老後は働かずにゆっくりしたいに決まっているだろ」である。