ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第78回
あれから2週間。
確定申告の進捗は
「現状維持」である。
漫画業界というのは作品が面白ければ締め切りを18年破っても大丈夫、みたいな特殊な世界ではあるが「余白が埋められればよい」というどうでも良い仕事を与えるなら、納期を守らない作家より守る作家の方に発注するだろう。
プロはゼウスではない、プロの仕事というのはプロの提示する時間や資料をこちらが揃えて初めて可能なのだ、もちろんそれに対する対価を支払う必要もある。
よってこちらも、税理士に何とかして欲しければ、税理士がなんとかできるよう資料を期限までに出す義務があるのだ。
しかしこれに関しては税理士側にも非がある。
何故なら私が依頼している税理士は「この日までに送ってください」という「期日」をこちらに伝えていないのである。
おそらく平素は漫画家の依頼など受けていないので「15日に締め切りなら資料は2月末ぐらいまでに出してくるだろう」という性善説を信じているのかもしれないが、例え人間の本質が善だとしても、漫画家が人間かどうかはわからない。
漫画家に対し締切日を指定しないと良いのは「やれる時にやって」と言っているようなものである。
ならばこちらも「やれたらやるわ」という実質「やらない」という選択肢を選ぶのは必然といえよう。
破られること前提かつフェイクだったとしても「日にちを指定する」ということは大事である。
3月15日という提出期限を知っていれば、それに合わせて前倒しで動くと思わない方が良い、むしろ「ならば18日ぐらいまでになんとかすれば良い」という謎の後ろ倒しをしてくる場合がある。
ちなみに私は気が小さいので「怒られればやる」方なので、税理士から催促があればすぐやるつもりだ。
次回の原稿を書くのは3月頭ごろである、その時私の確定申告はどうなっているのか、税理士はどれだけ人の善性を信じていられるのか、私はどこまで怒られと脱税のプレッシャーに耐えられるのか、チキンレースはすでに始まっている。
(つづく)