スピリチュアル探偵 第15回

スピリチュアル探偵 第14回
待望の連載再開!
かえってきた探偵の前に、
パワーワード満載の霊能者、降臨!

 本物の霊能者を探し求めて幾星霜。この連載のおかげもあり、僕のもとには日々、友人知人や仕事仲間など様々なルートから有力情報が飛び込んできます。

 ただ、メディアによく取り上げられているような高名な先生よりも、どちらかといえば人知れず活動している、商売っ気のない本物を探し当てたいのが僕の本音。そもそも、有名な先生は高いうえに予約が取りにくいですしね。

 いやこの際、コストについてはいいでしょう。問答無用の説得力を持つ本物の霊能者に巡り会えるなら、日々の酒量を減らして倹約するなど些末なことです。しかし、どうも「テレビ=商業主義」という印象が強く、本物を求めるなら非効率的な気がしてならないのです。

 そんなある日、知人女性からこんな声がかかりました。

「最近テレビによく出てる“T&L”ってスピリチュアルカウンセラー、知ってる? 本来、予約は1年待ちですごい人気なんだけど、ちょうど空きがあるから一緒にどうかしら」

 ほほう。なんだかんだ言っても1年待ちの人気者と聞けば、やっぱりそそられてしまうミーハーな僕。偽物であったとしても、何かの話の種にはなるでしょう。これは突撃しなければなりますまい。

〈CASE.15〉突撃! ゲイカップルのスピリチュアルハウス

 ちなみにここでは“T&L”とイニシャルにしてますが、これは2人の男性のお名前です。僕は寡聞にして存じ上げなかったのですが、ゲイカップルの霊能者というキャッチーな触れ込みがウケて、当時スタートしたばかりのお昼の帯番組にも出演していたようです。

 今回声をかけてくれた知人女性は、番組を見てすぐに母親と2人分の予約を入れたそうですが、見事に1年待ち。このほどようやく順番が回ってきたところで母親の都合が悪くなり、僕にお鉢が回ってきたというわけです。なんてラッキー。

 ゲイでカップルで霊能者という、設定がてんこ盛りな事案ですが、これぞダイバーシティというものでしょう。僕は喜び勇んで指定の住所へと向かったのでした。

 お邪魔したのは都内某所の一軒家。外観はまったくもって普通のファミリーハウスで、まさか霊能者カップルが暮らす家とは誰も思わないでしょう。家の前で知人女性と落ち合って、予約の時刻ぴったりにインターホンを押すと、2人の男性が出迎えてくれました。TさんとLさんです。

 といっても、2対2のグループセッションをやろうというわけではありません。なんとなく靴を脱いであがった順に割り振られ、僕はTさんの部屋に、知人はLさんの部屋にと、それぞれ分散しての1on1形式です。ちなみにLさんは外国の方なので、語学に自信のない僕は内心でホッとしたことを付け加えておきます(日本語ペラペラらしいですけどね)。

 さて、室内はいくらかスピリチュアル的な装飾がされているものの、基本的にはよくある日本家屋の一室。彼らが住む前は、どこかのファミリーが子供部屋としてこの部屋を使っていたのかもしれないな、などと自然に想像してしまうくらいに普通の住宅でした。

 Tさんに促されるまま着席し、まずは名前や生年月日などひと通りの情報を渡された用紙に記入します。Tさんはその間も、「ここ、すぐわかりました?」とか「そのバッグ、いいですねえ」などとにこやかに話しかけてきます。

「――さあ、今日は何を聞きたいですか?」

 記入済みの用紙を手に、じっとこちらの目を見ながらTさんが言いました。といっても決して威圧的ではなく、温かく包み込まれるような視線なので、思わず気持ちが緩みます。なんだかこのまま茶飲み話に興じてしまいそう。

 僕は居住まいを正して、「お聞きしたいのは大きく3つで、仕事、健康、結婚のことです」と、いつものお題3点セットを放り込みました。さて、一体何が始まるのでしょうか。

 


「スピリチュアル探偵」アーカイヴ

友清 哲(ともきよ・さとし)
1974年、神奈川県生まれ。フリーライター。近年はルポルタージュを中心に著述を展開中。主な著書に『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『一度は行きたい戦争遺跡』(PHP文庫)、『物語で知る日本酒と酒蔵』『日本クラフトビール紀行』(ともにイースト新書Q)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。

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