むちゃぶり御免!書店員リレーコラム*第11回

むちゃぶり御免!書店員リレーコラム*第11回
 お 題 
心もお腹も満たされるおいしい本

 人生に喜びをもたらすものはきっとたくさんあって、子どもから大人まで共通するものは、おやつではないでしょうか。3時といえばおやつ! すでに頭の中には文明堂のCM曲が流れ、カンカンベアが踊っています。

 万国にて魅惑のおやつを食べる時は一日で一番楽しい時間と言っても過言ではありません。私の場合は昭和に遡り、母がアルミの型に流し込んで作ってくれたゼリーが固まるのを冷蔵庫の扉を開けてはいまかいまかと待ちながら、幼い弟たちと食べたオレンジやグレープの味が懐かしく思い出されます。

 25名の作家陣によるおやつにまつわるショート・ストーリー『3分で読める! ティータイムに読むおやつの物語』に出てくるのは、カステラ・やきいも・饅頭・スコーンにショートケーキなど。ひとつひとつ味わいながら、それぞれに紡がれるミステリーにハッとしたり、優しい物語にホロリとします。

 トップバッターの「おかしなお菓子屋さん」(新川帆立)はカステラをめぐる秘密が粋に明かされるラストに驚き!

 中でも心に響いたのは、祖母の葬式の日、チリンチリンアイスの売り子に出会う「君に捧げる薔薇の花」(佐藤青南)。時代が巡り、浪漫が花のように咲き、涙腺にくるものがあります。長崎名物の薔薇の花のアイスを食べてみたくてたまりません。

 読むと食べている時のような幸せな気持ちになり、他の作品も気になる著者と出会えたり、おやつというテーマから無数の世界が広がります。お腹も心満たされるひとときはいかがですか。

3分で読める!ティータイムに読むおやつの物語

『3分で読める!ティータイムに読むおやつの物語』
編/『このミステリーがすごい!』編集部
宝島社

山田恵理子(やまだ・えりこ)
ブックカルテ一万円選書・文芸・文庫・ドール活動イベント担当。


【次のお題】
誰かに会いに行きたくなるような、駆け出したくなるような、エモーショナルな気分に浸りたい時に読む本
【答える人】
紀伊國屋書店 クレド岡山店 河東優衣さん
 
本連載は、「〇〇な時に読む本」というお題で、書店員の皆様に「推し本」を紹介していただきます。〇〇部分は、前号執筆した方が、次の執筆者に対して提案します。


〈「STORY BOX」2023年7月号掲載〉

萩原ゆか「よう、サボロー」第4回
はらだみずき『太陽と月 ジュニアユース編』