【作品の幅が広く人気】荻原浩のおすすめ作品を紹介!

大学卒業後は広告代理店に勤務し、その後は独立してコピーライターとして活動していた荻原浩。39歳の時に小説を書き始め、『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞し小説家としてデビュー。『明日の記憶』の映画化や、『海の見える理髪店』で155回直木賞を受賞し、注目を集めている作家です。今回は荻原浩のおすすめ作品5選をご紹介いたします。

4101230323
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101230323

『女の子の足首を切り落とすレインマンが出没している。でもこの香水をつけていれば大丈夫。』という噂が流れます。これは新発売の香水の宣伝のために広告会社が広めた作り話だったのですが、全く同じ事件が現実に起こり始めます。渋谷の若者に話を聞きながら事件を捜査する2人の刑事。「最後の1行が衝撃的!」「ラストの1行にやられました。」という感想が多く、本の帯にも書かれているように、あっと言わせるラストの1行に注目です。

神様からひと言

神様からひと言
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4334738427

主人公の佐倉凉平は、大手広告代理店をやめて、食品会社に再就職することに。入社して間もなくトラブルを起こしてしまった佐倉は、お客様相談室に異動となります。リストラ要因が集まると言われるその部署で、戸惑いながらもクレーム処理に奮闘する主人公の姿がコミカルに描かれています。お客様相談室の個性豊かな社員達のキャラクターも魅力的で、クレーム処理の解決方法もなるほどと唸ってしましいます。私も明日から仕事頑張ろう、そう思わせてくれるような作品です。

明日の記憶

明日の記憶
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4334743315

渡辺謙主演で映画化された作品です。原作を読んで感動した渡辺謙本人が、荻原宛に作品を映画化したいという手紙を書いたことで、映画化が実現しました。広告代理店の部長である主人公が、若年性アルツハイマー病を患いながらも懸命に生きて行く姿を描いた物語です。働き盛りの50歳という若さでアルツハイマーになり、動揺を隠せない主人公。アルツハイマーの症状は徹底した取材をもとにとてもリアルの描かれています。家族に支えられながら、前向きに生きていく主人公の姿に心を打たれます。

押入れのちよ

押入れのちよ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/410123034X

9つの短編が収録された短編集です。表題作の『押入れのちよ』は、仕事も恋も失った主人公が住むことになった訳ありの激安物件での物語。部屋には赤い着物を着た子供の幽霊が住み着いていて、主人公は幽霊と同居するはめになるというほのぼのとしたお話です。その他に、恐ろしい秘密の隠されたスープの物語『お母さまのロシアのスープ』、ちょっと悲しい恋と友情のストーリー『コール』などが収録されています。ぞっとするような話から笑える話までバラエティに富んだ内容で、読み応えのある短編集となっています。

コールドゲーム

コールドゲーム
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101230315

第16回山本周五郎賞の候補となった作品です。中学2年生の時にクラスで同級生からいじめを受けていたのはトロ吉というあだ名の生徒でした。トロ吉が中学3年生の時に引越しをした後は、みんながトロ吉の存在やいじめの事実を忘れていました。しかし高校2年生の夏にトロ吉をいじめていた生徒が襲われる事件が相次いで起こります。トロ吉の復讐を恐れた生徒たちは自分たちの身を守るために防衛隊を結成し…。いじめられた人、いじめた人、それを傍観していた人、それぞれの視点から描かれています。いじめをテーマに多感な時期の若者の心情が実にうまく表現されています。

最後に

魅力的なキャラクター設定やコミカルな会話でファンも多い荻原浩作品。緊張感のあるミステリーから、感動的なドラマ、笑えるコメディと作品の幅が広いのもその魅力のひとつとなっています。

初出:P+D MAGAZINE(2016/11/22)

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