宮尾登美子電子全集

全小説、随筆、対談をテーマ、ジャンル別に編集、再構成。付録は特集企画、インタビュー、貴重な写真ほか満載!

宮尾登美子

宮尾登美子(みやお・とみこ)プロフィール

大正15(1926)年4月13日、高知県高知市生まれ。高坂高等女学校卒業、同校家政研究科を中途退学し代用教員となる。同僚と結婚、長女出産後満州へ渡り戦後ようやく帰国。次女誕生の後、36歳の時に短篇『連』で婦人公論女流新人賞を受賞し、文筆業に入る。離婚、再婚を経て上京、『櫂』で太宰治賞を受賞して注目される。『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』『寒椿』『藏』『義経』『天璋院篤姫』など映像化、舞台化された作品も数多い。『寒椿』女流文学賞、『一絃の琴』直木賞、『序の舞』吉川英治文学賞ほか多数受賞。平成元(1989)年に紫綬褒章受章。平成26(2014)年12月30日、老衰のため永眠。享年88。

「宮尾登美子電子全集」とは―――――

■宮尾登美子の全作品、随筆、対談などを、テーマ別・ジャンル別に編集、再構成して1巻にまとめています。
■各巻に付録として、作品にちなんだ特集企画、著名人インタビュー、宮尾登美子プライベート写真などがつきます。
■監修は文芸評論家・川村湊。
■2018年1月5日より、毎月第1金曜に配信。全20巻。
■価格は、1巻本体1,400円+税。
■対象端末/電子書籍専用端末、スマートフォン、タブレット端末、PC
■販売サイト/主要電子書店

既刊

(2018年1月5日配信)
■第1巻『櫂/岩伍覚え書』
【テーマ】宮尾文学の幕開け

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【収録作品】
『櫂』は大正から昭和初期にかけての土佐の花街を舞台にした、自伝的作品。宮尾が恥としてきた家業、生い立ちをモチーフに土佐の風土や気質を織り交ぜながら、練り上げられた文体で情愛を込めて書き上げた。
『岩伍覚え書』は父親の死後に見つかった日記を基に書かれた短篇集で、「三日月次郎一件について」「すぼ抜きについて」「満州往来について」「博徒あしらいについて」の4作品を収録。

【付録】
●付録1 著者と親交のあった女優「檀ふみインタビュー」
●付録2 当全集の監修者、文芸評論家「川村湊の解説」
●付録3 特集企画「写真で見る 高知の今昔」
●付録4 プライベート写真満載、連載「宮尾登美子写真館」
●付録5 「高知観光ガイド」高知城、高知城歴史博物館
●付録6 「DVD作品紹介」映画『櫂』、テレビドラマ『櫂』

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(2018年2月2日配信)
■第2巻『陽暉楼/寒椿』
【テーマ】遊廓の女たち

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【収録作品】
高知で花開いた妓楼文化を書き残しておきたい――。宮尾のそんな思いから生まれた作品が『陽暉楼』だ。土佐随一の料亭と謳われた陽暉楼を舞台に、芸妓たちの生きざまや土佐の情景を織り込みながら、実存の名妓・桃若(ももわか)の薄幸な生涯を流麗な筆致で綴る。ひとりの男を愛したことで、過酷な運命を歩むことになる桃若の潔さ、心根が涙を誘う傑作だ。
『寒椿』は、置屋に預けられ姉妹のように育った4人の少女が芸妓となり、その後に歩んだ人生の明暗を4章からなるオムニバス形式で描いていく。貧しさ故に身売りされた女たちを雪に埋もれて咲く寒椿にたとえた、宮尾の思いがこもった作品である。

【付録】
●付録1 特集企画1「遊廓・芸娼妓とは」佐賀朝教授(大阪市立大学)
●付録2   特集企画2「『陽暉楼』のモデルとなった料亭と芸妓」
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」高知県立文学館、得月楼
●付録5 「DVD作品紹介」映画『陽暉楼』、映画『寒椿』

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(2018年3月2日配信)
■第3巻『鬼龍院花子の生涯/楊梅の熟れる頃』
【テーマ】土佐の女

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【収録作品】
『鬼龍院花子の生涯』は、土佐一の親分といわれた“鬼政”こと鬼龍院政五郎の任侠道、鬼政を取り巻く女たちの愛憎、愛娘・花子の哀れな生涯を養女・松恵の目を通して描く。宮尾作品初の映画化が大ヒットし、夏目雅子が演じた松恵の台詞「なめたらいかんぜよ」が流行語にもなった。ただし、この台詞は原作にはなく、映画を見た宮尾は仰天したと書き記している。
『楊梅の熟れる頃』は、土佐の13人の女たちから紡いだ13の短篇集。高知の特産品や名所などを絡めながら、苦難に押しつぶされそうな心を奮い立たせ、前を向いて生きる土佐女の強さ、生きざまをあたたかな眼差しで綴っていく。

【付録】
●付録1 特集企画1「土佐の女」山本一力×川村湊
●付録2   特集企画2「『楊梅の熟れる頃』MAP」
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」日曜市、司牡丹 酒ギャラリーほてい
●付録5 「DVD作品紹介」映画『鬼龍院花子の生涯』

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■第4巻『春燈/湿地帯』
【テーマ】青春時代・幻の長篇連載

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【収録作品】
宮尾は30年近い歳月をかけて、自伝四部作を書き上げた。『春燈』はそのひとつで『櫂』の続編にあたり、宮尾自身をモデルとした綾子の多感な思春期を描いている。父の稼業が原因で教師から差別されていると感じた綾子が、父を憎み激しく反抗する姿に宮尾の複雑な心境が窺われ、「もっとも書きにくかった」と述べている作品だ。
『湿地帯』は宮尾が上京する前、38歳の時の作品で、高知新聞に“前田とみ子”のペンネームで初連載をした長篇である。高知を舞台にしたミステリー仕立ての恋愛小説で、異色の宮尾作品といわれている。

【付録】
●付録1 インタビュー「中島丈博(脚本家)」
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 「高知観光ガイド」ひろめ市場、土佐赤岡どろめ祭り
●付録4 「DVD作品紹介」テレビドラマ『春燈』

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(2018年5月2日配信)
■第5巻『朱夏/仁淀川』
【テーマ】満州・引き揚げ

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【収録作品】
『朱夏』と『仁淀川』はいずれも自伝的四部作に含まれ、『櫂』『春燈』の主人公・綾子のその後を描いている。
『朱夏』では、昭和20年に生まれたばかりの長女を連れて、教員の夫とともに満州の飲馬河(いんばほう)に赴いた宮尾が、日本の敗戦によってもたらされた地獄絵図さながらの苦難の日々を基に書いた作品である。宮尾は引き揚げ後、この時の体験を愛娘に伝えたい一心で執筆を始め、それが作家への道の出発点ともなり、後に『朱夏』として結実した。極限状態の中で剥き出しになる人間のエゴイズムが鮮烈だ。
戦後、農業を営む夫の実家に一家で身を寄せた宮尾は、清らかな仁淀川の畔にある農村で暮らす。『仁淀川』は農家の生活に馴染めず疲れ果て、結核となり、最愛の母、そして父を相次いで亡くす絶望の中で、執筆に救いを見出した宮尾の軌跡が読み取れる。

【付録】
●付録1 特集企画「高知の満州開拓団」田中 全(元・四万十市長)×秋田 和(元・大土佐開拓団員)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 自筆原稿『仁淀川』
●付録4 「高知観光ガイド」春野町 あじさい街道、屋形船 仁淀川

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(2018年6月1日配信)
■第6巻『一絃の琴/母のたもと』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅰ・一絃琴

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【収録作品】
一絃琴は1本の絃を張っただけの簡素な琴だ。土佐では坂本龍馬も嗜み、藩士の習い事とされていたが、『一絃の琴』では幕末から昭和に至る時代の変遷を背景に、一絃琴に魅せられた苗(なえ)と、苗の弟子で才能溢れる蘭子の確執を描く。上梓までに17年もの歳月をかけて磨き上げた格調高い筆致は、直木賞選考でも高い評価を受けた。
『母のたもと』は、宮尾が52歳で直木賞を受賞するまでを綴った随筆集。小説家を志し精進を重ねる宮尾の心情、両親や家業のなかで出会った芸娼妓への思いなどが綴られている。

【付録】
●付録1 特集企画「土佐一絃琴の魅力」森本和子(正曲一絃琴白鷺会会長)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 自筆原稿『一絃の琴』
●付録4 「高知観光ガイド」高知市立自由民権記念館、高知市寺田寅彦記念館
●付録5 「DVD作品紹介」テレビドラマ『一絃の琴』

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(2018年7月6日配信)
■第7巻『伽羅の香/松風の家』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅱ・香道、茶道

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【収録作品】
室町時代に確立された香道は、香りを発する香木を加熱して、その香りを楽しむ雅な芸道だ。香道では香りを“嗅ぐ”ではなく“聞く”と表現する。江戸時代まで上流階級の嗜みとされていた香道だが、明治維新後は衰退の一途を辿る。香木の中で最上級品とされているのが伽羅で、『伽羅の香(かおり)』は次々と身内を亡くすという不幸に見舞われながらも、私財を投じて香道の復興に尽力した女性の生涯が描かれ、香道の奥深い世界を見せていく。
『松風(まつかぜ)の家』は安土桃山時代、千利休によって大成された茶道の世界が舞台である。茶道も香道同様、明治維新後に衰退していったが、同作品では逆境隆盛を取り戻すために苦難を乗り越え、懸命に生きた宗家一族の歩みが綴られ、第51回文藝春秋読者賞を受賞した。タイトルにある松風は、茶を点てるために窯で沸かした湯が奏でるシュンシュンという音を指し、松林に渡る風に見たてられたことに由来する。

【付録】
●付録1 特集企画「香道の楽しみ方」山田松香木店
●付録2 書評「『松風の家』讃」阿川弘之
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」高知市旧山内家下屋敷長屋展示館、高知市大川筋武家屋敷資料館

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(2018年8月3日配信)
■第8巻『序の舞/手とぼしの記』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅲ・日本画

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【収録作品】
『序の舞』は第17回吉川英治文学賞を受賞した作品で、女性として初めて文化勲章を受章した日本画家の上村松園がモデルとされる。女性が画家になることが非常に難しかった明治期、京都に生まれた主人公の津也。幼少の頃より画才を発揮し、修練を重ねて美人画の新境地を切り開くが、未婚の母という波瀾に富んだ人生を歩むことになる。志を貫き美人画の極みへと到達するまでの津也の苦難と、女性としての心情を流麗な筆致で綴った名作である。
随筆集『手とぼしの記』には、上村松園の恋文など『序の舞』を執筆する際の取材こぼれ話が記されていて興味深い。また、命からがら満州から引き揚げた時の体験、大好きなそうめんにまつわる話なども収められている。

【付録】
●付録1 特集企画「宮尾登美子、不屈の作家道」小谷野敦(作家・比較文学者)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 自筆原稿『序の舞』
●付録4 「高知観光ガイド」よさこい祭り、高知よさこい情報交流館
●付録5 「DVD作品紹介」映画『序の舞』

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(2018年9月7日配信)
■第9巻『錦/美しきものへの巡礼』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅳ・織物、手仕事

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【収録作品】
『錦』は京都・西陣の織元で、織物を芸術の域まで高めたと賞される初代・龍村平蔵をモデルにした小説だ。明治生まれの平蔵は斬新な織技法を編み出し、織物の世界に新風を巻き起こした。また法隆寺や正倉院などに伝わる古代裂(こだいぎれ)の研究に没頭、その復元にも努めた。小説では、織物に生涯をかけた菱村吉蔵を主人公に、吉蔵を支えた妻、妾、女性従業員らの献身と胸中も描き、吉蔵の一生が綴られる。宮尾が80歳から連載を始めた作品で、82歳の時に単行本として刊行、最後の長篇小説となった。この作品の発表後、宮尾の業績に対して菊池寛賞が贈られ、『錦』は親鸞賞も受賞した。
『美しきものへの巡礼』は、雑誌記者経験もある宮尾が手仕事の伝統を守る職人を取材、全国各地を巡り歩いたエッセイ。手毬、ケーキ、市松人形、打ち上げ花火、菊作りなど、宮尾がこよなく愛した美しきものを作り上げる職人の技に迫り、自身の忘れ得ぬ思い出も随所に織り込まれている。

【付録】
●付録1 特集企画1「土佐の“いごっそう”」加賀乙彦×川村湊
●付録2 特集企画2「『美しきものへの巡礼』撮影秘話」渡辺直之
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」桂浜観月会、桂浜水族館

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(2018年10月5日配信)
■第10巻『きのね/日記(昭和41年~47年)』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅴ・歌舞伎

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【収録作品】
貧しい家に生まれた光乃は女学校を卒業した昭和8年、歌舞伎役者の家へ奉公に上がり、長男・雪雄の世話係となる。雪雄は癇癪持ちで、気に入らないことがあれば暴力を振るうこともあった。だが、光乃は雪雄が結核を患った時も、結婚した後も献身的に仕えた。長篇小説『きのね』は、雪雄の本質を誰よりも理解して受け入れ、ひたすら尽くす光乃が雪雄の離婚後に妻として迎えられるまでを描いた作品で、当代随一の人気を誇った九代目市川海老蔵(後の十一代目市川團十郎)の妻がモデルとなっている。
『日記』は、日記をつけることを習慣とした宮尾が、生前に公表した中から、上京した昭和41年から『一絃の琴』で第80回直木賞を受賞する54年までを2回に分けて収録する。今回は前半の昭和41年から47年までで、生活のためにライターや編集の仕事をしながら、小説の執筆を続ける宮尾が、どんな思いを抱いていたのか、その一端を垣間見ることができる。

【付録】
●付録1 特集企画1「十一代目市川團十郎の真骨頂」渡辺 保(演劇評論家)
●付録2 特集企画2「柝の音の消えるまで――追悼市川団十郎丈」宮尾登美子
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 自筆原稿『きのね』
●付録5 「高知観光ガイド」こうち旅広場、絵金蔵

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(2018年11月2日配信)
■第11巻『菊亭八百善の人びと/日記(昭和48年~54年)』
【テーマ】日本の伝統文化Ⅵ・江戸料理

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【収録作品】
八百善は実存する江戸時代創業の名料亭である。江戸の頃は文筆家の蜀山人や絵師の酒井抱一を始めとする文人墨客はもとより、将軍や勝海舟も来訪した。明治に入ってからは政財界の大物に贔屓にされ、江戸懐石の伝承にも努めた。当初、八百善は東京・山谷に店を構えていたが、関東大震災で店舗を失い、築地に移転。しかし築地の店も戦災で焼けたため、戦後は永田町で店を再開した。『菊亭八百善の人びと』は、永田町の店を継いだ九代目栗山善四郎の妻をモデルにした小説で、壮絶な夫婦喧嘩を繰り広げながらも、老舗の伝統と味の再興に奮闘する女将の姿が描かれる。
『日記』は第10巻の続編で、『櫂』で太宰治賞を受賞した昭和48(1973)年から、『一絃の琴』で直木賞を受賞する昭和54(1979)年までを収録。孫の誕生を喜んだり、大作のための取材に励むなど変わりゆく日常が窺える。
付録「宮尾登美子写真館」では、前夫・前田薫氏との写真を特別公開する。

【付録】
●付録1 特集企画「江戸料理を伝承する老舗の矜持」十代目栗山善四郎(前・八百善店主、料理家)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 「高知観光ガイド」高知県立坂本龍馬記念館、高知市立龍馬の生まれたまち記念館、特設展望台 龍馬に大接近

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(2018年12月7日配信)
■第12巻『藏/天涯の花』
【テーマ】創造の女性主人公

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【収録作品】
モデルがいる場合が多い宮尾作品の中で、『藏』と『天涯の花』は宮尾が創造した女性がヒロインとなる稀な作品だ。
新潟の旧家の蔵元を舞台にした『藏』では、若くして失明する蔵元の娘・烈の生きざまが描かれる。悲運に屈することなく、惹かれ合う男性との愛を貫き、ふたりで女人禁制とされていた蔵元を継ぐ決意をする烈の姿は、多くの人の共感を呼び、単行本、文庫本ともに100万部を超えるベストセラーとなった。また舞台、映画、テレビドラマも制作され、いずれも人気を博した。
『天涯の花』は宮尾の故郷・高知ではなく、隣県の徳島を舞台にしている点でも珍しい作品だ。主人公となるのは、四国の霊峰・剣山(つるぎさん)に鎮座する劔神社の養女・珠子。剣山の美しい自然を織り込みながら、珠子の成長と恋物語が綴られる。

【付録】
●付録1 特集企画1「宮尾文学と音楽の二重奏」深草アキ(音楽家)
●付録2 解説「想像的でありながら、アクチュアルな小説世界」川村湊(文芸評論家)
●付録3 特集企画2『藏』がとりもった小泉純一郎との縁
●付録4 特集企画3『天涯の花』の舞台・剣山を探訪
●付録5 連載「宮尾登美子写真館」
●付録6 「高知観光ガイド」いの町紙の博物館、土佐和紙工芸村『くらうど』
●付録7 「DVD作品紹介」映画『藏』、テレビドラマ『藏』

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(2019年1月11日配信)
■第13巻『天璋院篤姫/篤姫の生涯』
【テーマ】皇女・姫君・女王Ⅰ

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【収録作品】
『天璋院篤姫』は、宮尾が初めて挑んだ歴史小説だ。新境地を拓いた同作品では、動乱の幕末、薩摩藩から徳川十三代将軍・家定のもとに輿入れした篤姫が、大政奉還という時代の荒波に屈することなく、己の信じる道を貫く姿が描かれている。平成20(2008)年放送のNHK大河ドラマ『篤姫』の原作にもなり、大いに話題を呼んだ。
『篤姫の生涯』は、史実に基づいて篤姫の生涯を綴った随筆。江戸から遠く離れた薩摩(現・鹿児島県)島津家の分家に生まれた篤姫は、薩摩藩主・島津斉彬の養女となり、将軍の正室として送り込まれる。しかし、夫の家定とは2年足らずで死別。大政奉還を前に幕府と薩摩が対立する中、篤姫は最後まで徳川方に留まった。そんな篤姫の生き方を宮尾が共感を込めて綴る。

【付録】
●付録1 特集企画1「宮尾登美子原作ドラマ制作秘話」原口泉(歴史学者)
●付録2 特集企画2 作者が語る誕生秘話『天璋院篤姫』宮尾登美子
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」ジョン万次郎資料館、土佐清水さかなセンター 足摺黒潮市場
●付録5 「DVD作品紹介」テレビドラマ『篤姫』

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(2019年2月1日配信)
■第14巻『東福門院和子の涙/クレオパトラ』
【テーマ】皇女・姫君・女王Ⅱ

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【収録作品】
後水尾天皇に嫁いだ徳川二代将軍秀忠の娘・和子(まさこ)は、“稀なる福運の姫君”と称された。だが、武家と朝廷では言葉も習慣も異なり、宮中での暮らしは苦労も多かった。『東福門院和子の涙』は、誰にも胸の内を語らなかった、と伝えられる和子の生涯を侍女の視点から描く。
『クレオパトラ』は宮尾が描いた唯一の外国人女性の物語で、“絶世の美女”と謳われる古代エジプトの女王・クレオパトラがヒロインだ。宮尾は、国を統治する責務を果たす一方で、運命の男性と出会い、ひとりの女性として、子を慈しむ母親としても懸命に生きたクレオパトラの生涯を描き切り、新たなクレオパトラ像を創出した。

【付録】
●付録1 特集企画「クレオパトラを辿る旅」都築和人(朝日新聞記者)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 自筆原稿『クレオパトラ』
●付録4 「高知観光ガイド」野市町旧正凧揚げ大会、フラフ・土佐凧『吉川染物店』

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(2019年3月1日配信)
■第15巻『宮尾本 平家物語 一 青龍之巻/宮尾本 平家物語 二 白虎之巻』
【テーマ】平家物語Ⅰ

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【収録作品】
鎌倉時代に著された『平家物語』は,平家一門の栄枯盛衰を流麗な和漢混交文で描いた軍記物語だ。七五調を主体としたリズム感溢れる文体は、琵琶法師によって語られ、後世の文学に多大な影響を与えた。宮尾は少女時代から親しんでいた『平家物語』に、自身の解釈を加味した『平家物語』を書きたいと願い、その思いが結実したのが『宮尾本 平家物語』である。平成17(2005)年放送のNHK大河ドラマ『義経』の原作にもされた。宮尾が『宮尾本 平家物語』の執筆を始めたのは73歳の時で、北海道有珠郡壮瞥町に山荘を建て、東京から移り住んで取り組んだ。平成11(1999)年11月から『週刊朝日』で作品の連載が始まり、原文にはない平家の女性たちの生きざまも描いた歴史絵巻を約4年の歳月をかけて完成させた。「第一巻・青龍の巻」では、栄達を重ねる平清盛と平家一門を支えるその妻・時子の姿を中心に描写。「第二巻・白虎之巻」では、時子の働きもあって清盛が天皇の外祖父となり栄華を極める一方、その横暴ぶりを綴る。

【付録】
●付録1 特集企画1「宮尾ファン作家が語る『平家物語』」玉岡かおる
●付録2 特集企画2「平家物語に挑む」宮尾登美子
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 自筆原稿『宮尾本 平家物語 一 青龍之巻』
●付録5 「高知観光ガイド」竹林寺、高知県立牧野植物園

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(2019年4月5日配信)
■第16巻『宮尾本 平家物語 三 朱雀之巻/宮尾本 平家物語 四 玄武之巻』
【テーマ】平家物語Ⅱ

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【収録作品】
宮尾の見事な筆致が際立つ後半「三 朱雀之巻」では、栄華を極める平家一門の没落への序章が描かれる。その幕開けとなるのは、源頼朝の挙兵だ。幼い安徳天皇を擁して福原に遷都していた平家は、富士川に軍を進めるが、水鳥の音に怯えて敗走。再び都を京都に戻した清盛は、熱病で死去する。時子は清盛の遺言を偽り、平家一門の奮起を促す。しかし北国で木曾義仲が挙兵し、惨敗した平家は西国への逃避を決める。
「四 玄武之巻」では都落ち、一ノ谷の戦い、壇ノ浦の戦いなど、物語の見せ場が展開されていく。幼い安徳天皇と三種神器を戴いて都落ちした平家の女性たちが過酷な運命を辿る中、時子は平家の血筋を皇統に残すため謀を巡らす。乱世に翻弄された女たちの生きざまが胸を打つ最終巻だ。

【付録】
●付録1 特集企画1「友人が語る、宮尾登美子の素顔」野田弘志(画家)
●付録2 特集企画2「再録・インタビュー」宮尾登美子
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」どろんこ祭り、長宗我部まつり、長宗我部フェス
●付録5 「DVD作品紹介」テレビドラマ『義経』

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(2019年5月10日配信)
■第17巻『平家物語の女たち/義経/影絵/菊籬/舞い扇』
【テーマ】平家物語随筆・中短篇集

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【収録作品】
『宮尾本 平家物語』を脱稿した後に執筆した随筆『平家物語の女たち』は、平清盛を育てた祇園女御、清盛の妻・時子をはじめ平家物語に登場した女性たちの生き様を物語に添って紹介。平家の女性たちに寄せる宮尾の思いを綴っている。もう一つの随筆『義経』は、『宮尾本 平家物語』とともにNHK大河ドラマの原作にもなった史実や伝説などを織り交ぜながら、宮尾の抱く義経像が描かれて興味深い。
中短篇集『影絵』は、昭和37(1962)年に第5回女流新人賞を受賞した『連』、1970年代に発表された『卯の花くたし』『影絵』『夜汽車』の4篇を収録。短篇集『菊籬(きくまがき)』は処女作『村芝居』、『菊籬』『宿毛(すくも)にて』など初期と円熟期の8篇をまとめた。短篇『舞い扇』は、宮尾が夫とともに高知から上京した昭和41(1966)年に創刊された少女小説誌『別冊 女学生の友』(小学館)に掲載され、今回が初再録となる。

【付録】
●付録1 特集企画「古典朗読のススメ」加賀美幸子(フリーアナウンサー)
●付録2 解説・舞い扇『「前田とみ子」から「宮尾登美子」へ』川村湊
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」四万十市郷土博物館、四万十川観光遊覧船『舟母浪漫 松廣屋』
●付録5 「DVD作品紹介」映画『夜汽車』

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(2019年6月7日配信)
■第18巻『花のきもの』『きものがたり』『小さな花にも蝶』『大人の味』
【テーマ】着物・対談集

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【収録作品】
〝宮尾登美子といえば着物〟の印象は定着し、その着物姿の優美で凛とした佇まいは多くの人々を魅了した。『花のきもの』『きものがたり』は、宮尾の着物に寄せる愛着と思い出を綴った随筆である。前者は回顧録的な作品で、菊や椿、梅など花模様の着物を取り上げ、その着物に纏わる女性たちの思い出を描いている。後者では、宮尾自身の箪笥にある着物100点以上をオールカラーで一挙公開。羽織や雨ゴート、手作りの帯なども紹介され、着物を巡るエピソードが展開される。
『小さな花にも蝶』は、作家の吉行淳之介、水上勉、加賀乙彦、映画『櫂』他の監督・五社英雄、出演者の緒形拳など、10人の男性との対談集だ。男と女、文学、芸事、旅といった多岐に亘るテーマについて語り合い、宮尾の創作の源泉や日々の生活も伺える。美味しいものに目がなく、故郷・土佐の料理をこよなく愛した宮尾は、台所に立つ主婦でもあった。『大人の味』では、そんな宮尾と茶懐石『辻留』の二代目・辻嘉一が料理談義を繰り広げる。

【付録】
●付録1 特集企画1「宮尾作品と着物のご縁」浜木綿子(女優)
●付録2 特集企画2「皿鉢料理とは」
●付録3 連載「宮尾登美子写真館」
●付録4 「高知観光ガイド」中岡慎太郎館、北川村「モネの庭」マルモッタン

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(2019年7月5日配信)
■第19巻『女のあしおと』『もう一つの出会い』『地に伏して花咲く』『女のこよみ』『生きてゆく力』
【テーマ】自伝的エッセイ

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【収録作品】
波乱万丈の人生を送った宮尾は、自身の人生を小説のモチーフとしただけでなく、随筆にも綴っている。『女のあしあと』には17歳で結婚して満州に渡り、苦難の末に引き揚げてきた体験、病苦、離婚、そして再婚後に上京など、自分が辿ってきた道程を語った「浮き沈み五十年」などが収録されている。『もう一つの人生』は、儘ならない人生に七転八倒しながらも、文学への志を貫く中で出会った人々、折々の想いを書き留めた作品だ。一方、『地に伏して花咲く』では少女時代からの半生に加え、宮尾作品についての背景や登場人物についても触れていて興味深い。『女のこよみ』は四季の移ろいの中での出会いと別れ、高知の農村で暮らした日々などが描かれる。『生きてゆく力』には、幼い頃に一緒に暮らした芸妓娼妓になるための幼女“仕込みっ子”たちの行く末などを、万感の想いを込めて書いている。

【付録】
●付録1 特集企画「宮尾登美子評伝の著者に訊く」大島信三(ジャーナリスト、元・産経新聞編集委員)
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 「高知観光ガイド」龍河洞、長尾鶏センター(おながどりセンター)

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(2019年8月2日配信)
■第20巻『つむぎの糸』『わたしの四季暦』『記憶の断片』『はずれの記』
【テーマ】暮らしのエッセイ

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【収録作品】
『つむぎの糸』では、編集者との取材旅行、大先輩の作家・宇野千代の細やかな心遣い、近所に住む孫の話などが綴られている。『わたしの四季暦』は、四季折々の営みを情感豊かに描写。早春の摘み草、夏の強い日差しを遮る懐かしい絵日傘、晩秋の肩掛け、暮れの羽子板市などについて語る。『記憶の断片』は創作、こころ、暮し、思い出の4章からなる。『序の舞』や『藏』などの創作秘話、不安症の悩み、土佐の味覚、満州での体験などを記している。『はずれの記』は移ろいゆく季節を背景に、日常の中での心の機微に触れ、縁の人や豪華客船での旅など忘れ得ぬ出来事を描く。

【付録】
●付録1 特集企画「太宰治賞『櫂』で漕ぎ出した作家人生」柏原成光(元・筑摩書房社長)×川村湊
●付録2 連載「宮尾登美子写真館」
●付録3 「高知観光ガイド」室戸岬、足摺岬
●付録4 「年譜」宮尾登美子 88年の軌跡

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配信スケジュール

第1巻/2018年1月5日配信
第2巻/2018年2月2日配信
第3巻/2018年3月2日配信
第4巻/2018年4月6日配信
第5巻/2018年5月4日配信
第6巻/2018年6月1日配信
第7巻/2018年7月6日配信
第8巻/2018年8月3日配信
第9巻/2018年9月7日配信
第10巻/2018年10月5日配信
第11巻/2018年11月2日配信
第12巻/2018年12月7日配信
第13巻/2019年1月11日配信
第14巻/2019年2月1日配信
第15巻/2019年3月1日配信
第16巻/2019年4月5日配信
第17巻/2019年5月10日配信
第18巻/2019年6月7日配信
第19巻/2019年7月5日配信
第20巻/2019年8月2日配信

初出:P+D MAGAZINE(2018/01/09)