「妄想ふりかけお話ごはん」平井まさあき(男性ブランコ)第6回

「妄想ふりかけお話ごはん」平井まさあき(男性ブランコ)第6回
唯一無二の世界観で今大注目のお笑いコンビ〝男性ブランコ〟。そのネタを作る平井まさあきさんの脳内は一体……? たっぷりの妄想をふりかけた、おいしいおいしい平井さんの日常をお楽しみください!

6.「総まとめ」

 今、この記事を書いている僕は1月16日にいます。この記事が出る頃には2月になっていることでしょう。2月に存在している僕がこの記事を読んでどう思うかは分かりませんが、2024年1月半ばの時点で、いったん総まとめをしたいと思います。2月の僕、つまりフェブラリ井は「総まとめ早いですて……」と宣っていることでしょう。1月の僕、つまりジャニュアリ井は「いやいや、いったんまとめて、そこから今年の感じを汲み取ろうじゃないか」と宣い返すでしょう。フェブラ井よ、すまない。今はジャニュアリ井に指揮権があるのだ。僕のやりたいようにさせていただく。

 ということで、これから試みたいのは2024年が始まり、現時点までの自分周りのことについてまとめ、そして、今後の2024年を占おうというものであります。少々のお付き合いお願いします。

 まずはやはり1月の冒頭のことを振り返ってみましょう。冒頭は東京、大阪、京都、福岡、目まぐるしい劇場出番の大車輪でありました。出番をもらえるありがたみを感じながらも、あまりの目まぐるしい、ぐるぐる大車輪であったので、記憶も朧ろです。今、自分はどこにいるのかわからないといった時間を幾度となく過ごしました。しかしながら、たくさん呼んでもらえてありがたきことこの上なしでありました。

 そしてその大車輪期を過ごし、単独公演チームでの今年の作戦会議を経て、コント犬というコントユニットの練習などをやっておりました。こうやって書き連ねていると、とても忙しい僕、忙し井だと思われるかも知れませんが、全くそんなこともありません。なぜなら、この間に、劇団四季を初めて観に行ったからなのであります。作家さんがチケットを取ってくださり、便乗させていただきました。演目は『Wicked』です。『オズの魔法使い』のアナザーストーリーです。聞くところによると、大変な人気作だそうで、チケットを取るのも至難の業だそうです。ここで観劇の感想を際限なく書こうとするとキーボードが摩耗して無くなることになりそうなので一言で差し込みたいと思います。身体の真芯からゾワゾワと震え上がり、脳みそ全体に感動成分がハチミツのようにとろりとゆっくり染み渡っていき、びたびたにその世界にずっと漂わせてもらう感覚を頂戴しました。誰もが知っているであろうことを知りました、劇団四季すごい。

 そんな具合で、1月16日が近づいてきました。さあさあ、今日という日に追いつかれる前に、最後に一つ。地元の豊岡ライブについて書かせていただきます。少し前にも地元豊岡での凱旋ライブがあったのですが、今回は趣きが少々異なります。『男性ブランコのみんなで豊岡ライブ!』と銘打ち、仲間たちと共に豊岡に訪れました。メンバーはアイロンヘッドさん、ロングコートダディさん、山口めろんさん、マユリカ、トニーフランク、蛙亭、とんかつ街道、そいつどいつ竹馬です(相方、刺身は体調不良で欠席)。この企画は半年ぐらい前から動いていたものでありましたが、まさか、文字通り、みんなで行く豊岡がこんなにも楽しいものになるとは、企画段階の僕らは知る由もなかったのです。こちらのライブ会場は市民会館というキャパが1000以上ある大きなところでしたが、発売当日に完売しました。遠方から来てくださった方々もいらっしゃいましたが、豊岡の人が8割を占めていました。ご来場くださった方々ありがとうございました。とても温かなお客さんばかりで、演者たちもほこほこ楽しんでくれていました。そいつどいつ竹馬は刺身が欠席だったので、コーナーだけでいいよと言ったのですが、ピンネタやらせてくれと男気を見せてくれました。普段は口を開けば「竜かっけえ、かっけえ竜」しか言わない男だと思ったのですが、やる男です。竹馬かっけえ。めろんさんも凄腕ピアノと歌を披露してくださいました。とてももりもりに盛り上がったのではないかと思います。

 帰りのバスでは、見送りの多くのお客さんが手を振ってくれてたので、みんなで大きく手を振り返しました。重ね重ね関係者の方々、ご来場くださった方々ありがとうございました。

 そしてバスは温泉で有名な城崎へと向かいました。そうです。今回の『みんなで豊岡ライブ!』はまだ終わっていません。この日、そのまま城崎に泊まり、次の日は城崎マリンワールドという水族館に行ったり、城崎温泉街を巡ったりする予定です。金波楼という素敵な旅館で6人部屋を3つぐらいとって、クジで部屋割りを決めて、みんなで布団を並べて寝ました。何の学問も修めない修学旅行でした。僕は美味しいカニ料理と、麦ソーダで舌鼓をポコピコペンっと打ち鳴らしまして、良き酔き気分、みんなは温泉行ったり、ゲーセン行ったり、ボードゲームとかしたらしいですが、僕は22:30に寝てしまいました。今回の『みんなで豊岡ライブ!』で、このことだけ大無念です。

 次の日は、マユリカのみ、外せない仕事があるということで、どっかよく知らないところへ行ってしまいました。僕らは予定通り、城崎マリンワールドへ行き、魚たちの優雅なる水泳を観察し、ペンギンのペンペン歩きを観察し、イルカのドルフィニーなジャンプを観察し、アシカの手ビレパタパタを観察しました。そして、温泉街をペンペン歩いて湯に浸かり、散歩などをしました。

 今回のかけがえのない『みんなで豊岡ライブ!』を成立させてくれたのは、プロデューサーであるうちの筋肉マネ池本くんをはじめとした社員さんたち、グッズ関係や、広告をやってくれた作家さん、関係者の方々、そして、参加してくれた仲間たち、お越しくださったお客さんのおかげであります。ありがとうございました。今回は感謝ばかりで妄想のひとさじがあまり無い記事になってしまいました。すいません。妄想が挟み込まれる余地がないほど今回の『みんなで豊岡ライブ!』が楽しいものでした。

 そして、いよいよ、運命の今日、1月16日です。今現在、豊岡ライブからそのまま東京に戻らず、大阪にいます。そして、今の今、NGKの楽屋Eの西側窓近くのテーブルで、今まさにこの文章を打っています。この打っていますという文言を打っています。ようやくです。ついに今に追いつきました。これでようやく2024年1月16日までの総まとめをできたということですね。ご精読ありがとうございました。このまとめから類推すると、今後の2024年はこれからどんな感じになるのでしょうか。

 ん〜、わからない。

 現時点で楽しいことがたくさんありましたが、だからといって、これからそれが続くとは限らない、どうにもならない辛いことや、防ぎようのない恐ろしいことに遭遇してしまうことなんて多々あります。ですので、世の中はいつ何が起こるかわからないし、常に何物も変化するのだという泰然自若とした心構えを持ち、その中で楽しむという余裕も忘れず、ちゃんと物事に対して、表面も裏面、側面も見ようとする姿勢で2024年は生きたいと思います。

 本年もよろしくお願いいたします。


平井まさあきさん

平井まさあき[男性ブランコ]
1987年生まれ。兵庫県豊岡市出身。芸人。吉本興業所属。大阪NSC33期。2011年に浦井のりひろと「男性ブランコ」結成。2013年、第14回新人お笑い尼崎大賞受賞。2021年、キングオブコント準優勝。M-1グランプリ2022ファイナリスト。第8回上方漫才協会大賞特別賞受賞。趣味は水族館巡り、動物園巡り、博物館巡り。


「妄想ふりかけお話ごはん」連載一覧

『超短編! 大どんでん返し Special』ならこれを読め! 書店員の〈推しどんでん〉ベスト3 ∵ 第2回
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド vol.133 ときわ書房志津ステーションビル店 日野剛広さん