『超短編! 大どんでん返し Special』ならこれを読め! 書店員の〈推しどんでん〉ベスト3 ∵ 第3回
わずか2000字で世界が反転するショートストーリーのアンソロジー『超短編! 大どんでん返し Special』が好評発売中、早くも重版が決定しました。豪華執筆陣によるバラエティ豊かな34話を収録した1冊は、「中でもどれが好きだった?」と話が盛り上がることもしばしば。というわけで、書店員の皆さんにも〈推し〉のどんでん返しを聞いてみました!
★皆さんもぜひ、「#推しどんでん」でお気に入りを教えてください。
1位 「おとうちゃん」万城目学
子供たちの成長、夫婦の絆、そして科学の発達といった要素をぎゅっと詰め込んで最後にそうきたか! と。
古今東西、おかあちゃんは強いのです。
2位 「井村健吾の話」澤村伊智
こんなに短編なのに、ちゃんと怖い。
恐ろしいものを生み出すのは、やはり人なんですね。
もう同窓会には行けなくなりました。
3位 「訪ねてきた女」竹本健治
心の奥に潜んでいる恐怖心。
それがムクムクと現れるときの恐ろしさに引き込まれました。
最後はまさかのオチもついて、こういうの大好きです。
1位 「皇帝」野﨑まど
「どんでん返し」と聞いてたいていの人が思い浮かべたり期待したりするオチとは別の形で満足させてくれるのが、この1編。え? とあはーん! が同時にやってくる満足感。
野﨑まど、さすが。好きですよ、こういうオチ。まるでラーメンズのコント「不思議の国のニポン」の時間差で明かされる答えを見ているかのような(わかるかなぁ)。
単純にひっくり返すだけじゃない面白さが34編の中でピカイチでした。
2位 「イズカからユウトへ」浅倉秋成
イヤミスがこんな短さで味わえるなんて! 高校生の微笑ましい恋心と失恋、かと思いきや!!
オチが分ってからの驚きよ。ひっくり返された驚きとその構成の妙。すごいなぁ、すごいなぁ、ってなること請け合い。
3位 「二十三時、タクシーは西麻布へ」麻布競馬場
これは「ニヤリどんでん」のお手本。思い込み、と先入観をざっくり斬られる。「いやいやいやいや、だってさー」と言い訳したくなる。ひっくり返ったあと、「やられたね、まったく」と照れ笑い必至。この面白さは気持ちいい。
1位 「すずらんの妻」森晶麿
緻密なパズルのように組まれた息をつかせないストーリー。そして最後のピースがはまった瞬間のカタルシスがたまらない。鮮やかな筆致で人の心を静かに鷲掴みにする物語だと思う。
2位 「二十三時、タクシーは西麻布へ」麻布競馬場
東京という場所の空々しい感じを描いたら、今1番じゃないかと思う作者だけど、今回そこに色んな感情や密閉されていた街の濃密さが、するするとなだれ込んでいく感じがとても良い。
主人公の女性の魅力もあって読後感も素晴らしかった。
3位 「筋肉は裏切らない」紺野天龍
小賢しい理屈なんて吹っ飛ばす爽快感。そこにあるのは鍛え抜かれた筋肉、ただそれだけ。
自分の身体に正直に生きていく大切さと、みんなに期待される悦びを与えてくれる作品……? なはずだ。
(次回は2月12日公開予定です)