かすがい食堂
評者・瀧井朝世(ライター) 美味しい料理の先に希望を見出す とても丁寧に、真摯に書かれた小説。それが、伽古屋圭市『かすがい食堂』を読んで真っ先に抱いた印象だ。駄菓子屋の奥にある、とても小さな子ども食堂の物語である。憧れていた映像制作の会社に入ったものの激務で倒れ、3年勤めて退職した春日井楓子は、80歳になる祖母が営んで
放課後の子どもたちが集う駄菓子屋さんが、夜には子どもたちのための食堂に!? 小学館文庫での前作『冥土ごはん 洋食店 幽明軒』では、死者が訪れるレストランを描いた伽古屋圭市さんが、本作で舞台にしたのは東京下町の「子ども食堂」です。