ババヤガの夜
現代女性のリアルな声をすくいあげた小説・エッセイで注目される作家・王谷晶さん。昨年十月に刊行された最新作『ババヤガの夜』(河出書房新社)は、女性作家には珍しいハードな展開に心震わされるバイオレンス長編です。暴力の才能に秀でた新道依子と、不自由な生活を強いられている暴力団組長の娘・内樹尚子。
『ババヤガの夜』王谷 晶
河出書房新社
読んでいる間中、胸の奥から名状し難い興奮が突き上げてくる。冒頭、ぼっこぼこにされた状態で、新道依子が暴力団の会長宅に連れてこられた場面。組員の