伊与原新

大どんでん返し第26回
第26話 伊与原新「古地震学教授」 ほこりをかぶった長持の中から、今にも破れそうな和紙の束を慎重に取り出していく。古文書の取り扱いには、いつまでたっても慣れない。「大学の先生ってことは、おたく教授ですか?」家主の男が言った。「いえいえ」私は手袋をはめた手を止めて、苦笑いする。「准教授ですよ。うちの教授に言わせれば、昇格
田島芽瑠の読メル幸せ
10月になりました 金木犀の香りに癒されるこの季節。花粉症がなければもっと最高なのにと思う今日この頃。皆さんはいかがお過ごしですか?今はまだ稽古中ですが『読メル幸せ』が更新された頃にはもう次の日が千秋楽になっているのだと思うと不思議な気持ちです。準備期間が長い分余計に本番は一瞬に感じて寂しくなる。皆さんには「ドラマチッ
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 丸善 お茶の水店 沢田史郎さん
 例えば、「星六花」(『月まで三キロ』所収)の主人公は、恋愛にも結婚にも消極的なまま40歳になろうとしている自分を顧みて、悄然と肩を落とす。《こんなはずじゃなかったのに――と今になってため息ばかりついている。「どうせ」と「だって」と「でも」を堂々巡りのように繰り返しながら》。「海へ還る日」(『八月の銀の雪』所収)では、
『八月の銀の雪』伊与原 新/著▷「2021年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR
『八月の銀の雪』は科学のエッセンスがちりばめられた全5篇の短篇集です。「本屋大賞2021」にノミネートしていただき、本当にありがたく思っています。科学というと、「難しそう」と苦手意識をもつ方もいらっしゃるかもしれません。私も超がつくほどの文系なので、そのお気持ちはよくわかりますが、「文系の方でも、科学好きでなくても楽し
伊与原 新さん
研究の世界に生きている人がすごく好きなんです  2010年に『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞して作家デビュー、昨年はノンミステリの短篇集『月まで三キロ』で新田次