古矢永塔子

目利き書店員のブックガイド 今週の担当 文信堂書店長岡店 實山美穂さん
 小説を読むとき、大事にしているポイントはありますか? 泣けること。新たな知識を身につけられること。現実にはできない体験をすること。思いつくだけでも、いろいろありますね。私は文章から色や音、風、匂いなど、五感を刺激されるものが好きです。だからSFや歴史ものが苦手なのかもしれません…。さて今回は、そんな作品から一冊を紹介
平野レミさん上野樹里さん『今夜、ぬか漬けスナックで』
大好評発売中の『今夜、ぬか漬けスナックで』(古矢永塔子著)は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台にした、心温まる家族小説。平野レミさんと上野樹里さん母娘が推薦してくださっていることや、作中に登場するおいしそうなぬか漬けの描写を読んで「ぬか漬けを始めた」という人が続出するなど、話題を呼んでいます。こちらのページでは、発売前より
「推してけ! 推してけ!」第25回 ◆『今夜、ぬか漬けスナックで』(古矢永塔子・著)
評者=小寺真理(喜劇女優) 人生はまるでぬか床のようである 主人公の31歳槇生は、自分より年下の亡き母の夫・伊吹が住む瀬戸内海の小豆島に強引に押しかけて同居を始める。周りからは強引で物怖じしないサバサバした性格に見える槇生だったが実は誰にも言えない秘密を抱えていて……。本書は7話の連作短編で、全てがぬか漬けに関するタイ
古矢永塔子『今夜、ぬか漬けスナックで』
『今夜、ぬか漬けスナックで』は、職と住居を失った主人公の女性が、祖母から受け継いだぬか床を抱えて瀬戸内海の離島に移住する物語だ。原稿を書きながら私は、迷っていた。物語の行方についてではなく、ぬか床を持つか、持たないか、について。何しろ私は小学生時代から、夏休みの宿題のミニトマトや、朝顔の鉢植を枯らしてきた人間だ。ぬか床
思い出の味 ◈ 古矢永塔子
「何も味がしねぇや」というのが食卓での祖父の口癖だった。  私の故郷は、全国食塩消費量上位の青森県。祖父はとにかく味が濃いものを好んだ。母が作った料理に箸をつけると顔をしかめ、醤油瓶に手を伸ばすのが常
koyanagasan-banar
味覚は人としての軸や自信に繋がるぶん 他人に否定されたり支配されるのは怖い  山本一力、柏井壽、小山薫堂各氏を選考委員として新設された「日本おいしい小説大賞」。その第1回受賞者となった古矢永塔子氏にと
nanadowaraeba
普通のジジイ 第一回日本おいしい小説大賞受賞作『七度笑えば、恋の味』を出版するにあたり、初めに上がった議題が「七十二歳と二十八歳の間に恋は生まれるのか」だった。小学館での初めての打ち合わせで、担当の幾野さんは、同席していたもう一人の女性編集者と私にたずねた。