滞米こじらせ日記

滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第5話 鳴きまね名人①
 いろんな人がいろんな理由で、アメリカに渡ってくる。東欧からリッチなアメリカンになることを夢見て自主政治亡命してきて、でも、祖国に残ったいとこの方が土地売買と役所のコネで成金ミリオネアーになり、どう
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 ハーヴェイは、差別とか偏見とか抽象的なことばを繰り返すだけだったから、どんなことがあったのか、具体的にはわからなかった。わからなかったけれど、15か16でアメリカにやって来たハーヴェイのしなやかだ
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 結局、綾音さんは自腹でチケットを買って帰国することになったのだけれど、その前に、どこでもらってきたのか、体じゅうベッドバグ(南京虫)に刺されて帰ってきた。まずい、と思ったけれど、追い出すわけにはい
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
「いや、2万ドルでも3万ドルでも、出来高次第でもっと出してもいい。君だって、ちょっとした小遣いが欲しいだろう」  なんだか怪しい話が出てきそうな気配で、「忙しくてなかなか時間が取れないから、無理だと
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 ハーヴェイは見たところ昔と全然変わっておらず、ハーヴェイが足踏みしている間にわたしの方が追いついたみたいな感じだった。わたしとしては、短い時間の中でも、昔話を交わしたり、これまでの空白の年月を埋め
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車①
 ハーヴェイは、中国生まれのユダヤ教徒で、日本人を含むいろいろな血が混じっていて、一見したところ何人なのか見当のつかない風貌をしている。初めて会ったのは、わたしが大学院を出たばかりのころで、20代の
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード③
 ジェンナは、ディーンとインテリ向けの雑誌のパーソナル欄で知り合った。6、7年前のことだ。いや、もう10年近くになるかもしれない。  当初、ジェンナは、「ほとんどわたしと背丈が変わらない」とか「もっ
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード③
 父親はミケーレに自制心を付けさせようとしたが、母親はミケーレをかばってばかりいる。あのとき、母さんはミケーレを猫かわいがりするのでなく、ちゃんと自制心を付けさせるべきだったんだ。おかげでミケーレは
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード②
 その夏、イレーネは、インターネットの出会いサイトで出会った数学者とオンライン恋愛の最中だったのだけれど、さすがセネカやキケロを生んだ土壌に生まれただけあって、イレーネは「哲学すること」が大好きで、
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード①
 第3話 マネー・ア・ラ・モード 「まさか、お金がありすぎて困るということはないでしょう」そう大概の人は言う。  別に、お金がないから言うわけでないけれど、お金があると、往々にしていろいろな問題を
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~--02
 ジュリアは、しょっちゅうメールをよこすようになった。気丈なジュリアではあるけれど、さすがに、心がカサカサしてくることもあるようで、時には、弱気なメールを書いてくることもある。 「もう匙(さじ)を投
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~--02
 いろんなことでゴタゴタを起こしていくうちに、幸太のお姉さんとも、そして、お母さんとも衝突したジュリアは、次第に四面楚歌(しめんそか)の状況に陥っていった。でも、幸太の家族は、本当なら、ジュリアを煙
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~--02
 幸太の説明するところだと、肉体は滅びても、電気信号である脳のはたらきは残って、空中のある層を移動するのだそうで、それを幸太は認知できるということだ。電車の中の乗客の半分が幽霊だ、などと言われても説
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~--02
 が、3年前にのっぴきならない事情がジュリアに生じて、そのきれいな正三角形が崩れていった。そののっぴきならない事情というのは、ジュリアの彼氏の幸太(こうた)に関することで、幸太のことを最初に教えてく
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~--02
 第2話 星に願いを  首都ワシントンに住んでいたときの友人のジュリアとは、ナショナル・プレス・ビルディングのオフィスが隣同士だったことから知り合った。彼女は、名門ジョージタウン大学でアラビア語を
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~
 それでも、スジョンが夫の元から去らなかったのは、スジョンにはほかに行くところがなかったからだ。息子を連れてソウルの小さな貧しい実家に戻っても、行く末は楽観できないし、それなら、アメリカにいたほうが
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~
 時々、ポールは、大学時代に付き合っていたスーザンみたいな女性と結婚していたら、と思うことがある。子供を四人作って、わいわいとにぎやかな一家団欒(だんらん)のある、明るく開放的で楽しいアメリカン・ホ
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~
 たとえことばがうまく操れなくても、おしゃべり好きなラテンの人たちは、ブロークン・イングリッシュでにぎやかにしゃべりまくるのだけれど、スジョンは、何をどう話したらいいのか、会話のつむぎ方の見当もつか