◎編集者コラム◎ 『シンデレラ城の殺人』紺野天龍

◎編集者コラム◎

『シンデレラ城の殺人』紺野天龍


『シンデレラ城の殺人』写真
単行本ではTSCR先生に、文庫では遠田志帆先生に装画をご担当いただきました!

シンデレラ城の殺人』の編集者コラムをご覧いただきありがとうございます。

 突然ですが、皆さんはどんな時に仕事のやりがいを感じますか?

 いや、のっけからうさんくさい始まりですみません汗。ちゃんと作品との思い出に繋がりますので、少しだけお時間をいただければ嬉しいです。

 さてさて、やりがいを感じる瞬間です。お客様にありがとうと言われた時、目標を達成できた時、成長を実感できた時、などなど。十人十色、人それぞれ、やりがいや喜びを感じる瞬間というのは異なるものかと思いますが、私の場合は二つあります。

 一つ目は、自分が担当させていただいた本をきっかけに、作家さんが他社さんからも本が出せるようになること。携わることができた作品が作家さんがさらに輝くためのきっかけになれたようで、嬉しいのです。

 そしてもう一つが、普段本を読まない人から「面白かった!」と直接感想をいただくことだったりします。

 本作『シンデレラ城の殺人』は、この二つ目のやりがいをくれた作品でした。

 今年の春のことです。会社見学に来ていた中学生に編集者の仕事を紹介する機会をいただき、そこで普段まったく本は読まないという男の子が、私が担当している作品とは何も知らずに「この本は面白かった」と感想を伝えてくれました。その作品こそが、この『シンデレラ城の殺人』だったのです。
※本作は2021年に単行本として刊行された作品のため、その単行本を読んでくれたようです。

 大人と話すのが恥ずかしかったのか、緊張していたのか。教えてくれた感想は「面白かった」ということだけでした。しかし、たとえ短くとも、一言だけであったとしても、もうとても嬉しく、こうした本を読む楽しさを伝えるために自分は仕事をしているんだな、ということを実感し、強くやりがいを覚えました。

 ということで前置きが長くなってしまいましたが、普段本を読まない人をも魅了する、そんな本作の内容は、タイトルの通り皆さんご存知の西洋童話「シンデレラ」がモチーフになっています。

 ある日、怪しい魔法使いにガラスの靴を渡され、言葉巧みに王城で開かれる舞踏会へと誘われたシンデレラ。

 お城に到着するやいなや、シンデレラはさっそく王子様の目にとまりダンスを踊ります。しかしその後、王子様の死体が発見されたことで華やかな舞踏会の空気は一変。

 シンデレラは王城の兵士によって殺人の現行犯として捕まってしまい、臨時法廷で裁かれることに。何もしなければ死刑になる大ピンチを前に、シンデレラは自身の手で無実を証明しようと決意しますが――。

 という、童話と法廷ミステリが融合した物語となっています。

 著者の紺野天龍先生は、『幽世の薬剤師』シリーズが大ヒット中、今まさにのりにのっている大注目の作家さんです。もしまだ紺野先生の作品を読んだことないようでしたら、とてももったいない! ぜひぜひ、この機会に書店様の店頭でお手にとっていただければ幸いです。
※最後の最後まで、きっと皆さん騙されます!(私も騙されました!)

『シンデレラ城の殺人』の応援、どうぞよろしくお願いいたします。

──『シンデレラ城の殺人』担当者より

シンデレラ城の殺人
『シンデレラ城の殺人』
紺野天龍
吉川トリコ「じぶんごととする」 13. まだその名前を知らない 後編
▽▷△超短編!大どんでん返しExcellent▼▶︎▲ 柏木伸介「探偵とちぎれた女」