◎編集者コラム◎

『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』 西村京太郎


オーシャンアロー号の謎


 今年88歳を迎えた西村京太郎先生は、今でも旺盛なペースで執筆を続けられています。2019年も、12社の出版社から単行本・文庫併せて50冊以上にのぼる小説が刊行される予定です。小学館文庫でも、多くの西村ミステリーが刊行されていますが、今回ご紹介するのはスリリングな一編です。

 十津川警部といえばトラベルミステリーですが、この『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』は、列車を丸ごと乗っ取るというトレインジャックを扱っています。南紀オーシャンアロー号は、京都を出発して紀勢本線を走って新宮まで行く列車で、「先頭車両は、イルカとかアヒルとかに、似ているといわれて、親しまれてい」ます。

 小説では、次期駐日大使に決まっているウィリアム・コテッテイと夫人、娘が登場します。この一家が列車の乗客だったのです。次に、紀勢本線で息子を鉄道事故で亡くしたという神木昌幸という男が、事故の損害賠償を巡って説明に訪れたJR西日本の社員を殺害して逃亡。さらには、高木健介という35歳の男が拳銃を扱うシーンが。

 そして何と、南紀白浜のリゾートホテルに宿泊する十津川警部の妻・直子と叔母の美津子も同乗して、12時33分発のオーシャンアロー17号は、京都を出発しました。

 大阪駅を過ぎ停車予定の天王寺駅を通過して犯人グループは、列車を乗っ取ったと乗客にアナウンスします。犯人グループは、次期駐日大使一家の身代金として、外務省とアメリカ政府それぞれから5億円の合計10億円、乗客乗員の身代金としてJR西日本に10億円を要求します。

 犯人グループの主犯格らしき高木はフランスの外人部隊に在席したことがあり、アメリカ政府からはギニアのアメリカ大使射殺の実行犯とみられていました。そこでアメリカ軍も動き出してきて……。

 さまざまな思惑が絡む中、捜査に当たる十津川警部。犯人の確保と乗客の安全確保をどうやって行うのか。犯人グループの企んだ逃亡方法を見破ることが出来るのか──。

 ラストまで一気読みの、ミステリーです!

──『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』担当者より
 
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