◎編集者コラム◎ 『ラスト・トライアル』著/ロバート・ベイリー 訳/吉野弘人
◎編集者コラム◎
『ラスト・トライアル』著/ロバート・ベイリー 訳/吉野弘人
お待たせしました!
伝説の教授トムと教え子リックの弁護士コンビ、黒人弁護士ボーや検事パウエルら「熱き魂の男たち」が活躍する『ザ・プロフェッサー』シリーズ第三弾『ラスト・トライアル』をお届けします。
各方面で熱い支持を頂いている本シリーズ、一年前に刊行した第二作『黒と白のはざま』はおかげさまで、昨年の年末ベストにもランクインを果たしました!これもひとえに、このシリーズを熱くアツーく応援してくださった皆さまのおかげです。感謝しかありません。
さて、第三作。前二作の「胸アツ」はもちろん健在ですが、今回は私、泣きました。まさかの、「著者あとがき」で。このあとがきは作品そのものに密接に繫がっていて、著者のロバート・ベイリーさんがこの小説を「書かなければならない」理由があった。それが本当に切なくて哀しく、でも希望が感じられて、あたたかい。こんなに胸を打たれるあとがきは、これまで読んだことがありませんでした。
それは訳者の吉野弘人さんも、今回解説を描いて下さった文芸評論家の池上冬樹さんも同じでした。
《著者は本作執筆に関する背景を著者あとがきで述べている。もし読み飛ばしていたなら、こちらも是非読んでほしい。恥ずかしながら、筆者は読んでいて涙がこぼれそうになってしまった》(訳者あとがきより)
《評論家として数多くのあとがきに触れてきたが、思わず落涙しそうになったあとがきは初めてだし、たった三頁なのに身を乗り出して読んでしまう》(解説より)
そんなお二人の原稿を読んでまた泣いてしまうという、「泣きのループ」にはまってしまった編集作業でしたが、一方で本編は「法廷エンタメ」としてますますパワーアップしています。
冒頭で描かれるある殺人事件。被害者はトムとリックにとって因縁の相手であり、さらに容疑者は驚くべき「あの」人物。「え?まさかあの人が」という驚き、ミステリとしての謎解きの面白さ。そして一番闘いたくなかった相手と、圧倒的不利な裁判を闘わなければならなくなったトムたちの緊迫感溢れる法廷劇。さらに老境のトムの心の内……今回も本当に読ませます。
《トム・マクマートリーがこの物語の最初の部分で言っていたように、悲しみもまた人生の一部である。しかし、最後には常に希望が勝つ》
ベイリーさんはあとがきで、こう書いています。読み終えて、まさにそんな気持ちになる著者渾身の一作です。ぜひ本書を読んでいただき、この熱い思いを受け止めて頂けたら、編集者としてこんなに嬉しいことはありません。
──『ラスト・トライアル』担当者より