◎編集者コラム◎ 『TEN』楡 周平

◎編集者コラム◎

『TEN』楡 周平


TEN編集者コラム

 会社にはびこる「男の嫉妬」ほど、恐ろしいものはない――。

 コロナ禍でテレワークが一気に進んだ会社もあれば、そうでない会社もある。デジタル化は人々の働き方を大きく変えました。でも、働く環境が激変しても、ビジネスパーソンにとって最も悩ましいのが、昔も今も人間関係。中でも一番厄介なのが「嫉妬」。

 え、嫉妬は女性の専売特許じゃないかって? とんでもない。企業という社会においては、女よりも男の嫉妬の方がはるかにないエゲツないのです。

 そう、嫉妬という感情はやがて憎悪に変異して増殖していくのです。

 企業小説の第一人者・楡周平氏の最新文庫『TEN』(上下巻/小学館刊)の主人公、テンと呼ばれる青年小柴俊太も、男たちの嫉妬に翻弄され続けます。

 戦後の動乱期。横浜のドヤ街で当たり屋稼業をしていた俊太は、幼馴染の麻生寛司と偶然再会した縁で、人生が大きく動き出す。料亭の下足番をしていたある日、寬司の上司でムーンヒルホテルの次期社長・月岡光隆に見出され彼の運転手に。やがて月岡の会社に就職した俊太は、独創的なアイデアと持ち前の度胸で次々に実績を挙げ、中卒、途中入社のハンディを乗り越えて、異例の出世をしていきます。ところが、「出る杭は打たれる」の言葉通り、俊太は上司や先輩社員からさまざまな嫌がらせを受け、トラブルに巻き込まれていきます。

 職場では上司も先輩も選べない。これ、サラリーマンの宿命です(苦笑)。しかも嫉妬に囚われた怪物は、ある時は同情して、またある時は笑顔を振りまきながら忍び寄ってきます。

 信用信頼できるのはごくわずかしかいない。自分が会社の中では<異物>だと思い知らされる俊太は、生来の負けじ魂で彼らと戦うのですが、不測の事態が俊太と会社を襲います。会社人生で最大のピンチを、俊太はどう切り抜けるのか……!?

 著者・楡周平氏からのメッセージ(一部)を紹介しますと――。

「ホテル業界の変遷を元に、昭和を全力で駆け抜けた男の波瀾万丈の一代記を、ビジネスパーソンの先達には感謝の気持ちを、現役世代へはエールを込めて書きました。」

 まさに現代版の太閤記。汗と涙と歯ぎしりのサラリーマン奮闘小説の傑作が誕生しました!!

──『TEN』担当者より
  

TEN 上・下

『TEN』(上・下)
楡 周平

【著者インタビュー】新川帆立『元彼の遺言状』/2020年度の『このミステリーがすごい!』大賞作品の背景を語る
◎編集者コラム◎ 『うちの宿六が十手持ちですみません』神楽坂 淳