◎編集者コラム◎ 『殺した夫が帰ってきました』桜井美奈

◎編集者コラム◎

『殺した夫が帰ってきました』桜井美奈


祝『塀の中の美容室』第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 優秀賞受賞!

 編集者コラムをご覧いただきありがとうございます。小学館文庫2021年4月刊『殺した夫が帰ってきました』の編集を担当しましたA田と申します。

 季節は4月。少し前までの寒さが嘘のように、すっかり暖かくなってきました。4月というと、入学式に入社式(弊社にもフレッシュな新入社員が11名も入社しました!)、転勤に人事異動と、環境が大きく変わる節目の季節かと思います。

 環境が大きく変わり、新しい出会いもあり、何か運命めいたご縁を感じる人も多いのではないでしょうか……

 ということで(!?)、前置きが長くなりましたが、今回取り上げる『殺した夫が帰ってきました』の著者、桜井美奈先生と私にも、不思議なご縁を感じずにはいられない、ちょっとしたエピソードがあるのです。

 さかのぼること3年前。私は当時働いていた双葉社を退職し転職をしたのですが、その時、最後に編集を担当させていただいた小説が、桜井先生の作品でした。

 タイトルは『塀の中の美容室』。女子刑務所にある、受刑者が一般客の髪を切る美容室を舞台にした連作短編集です。

 私はこの本に、不思議な縁を感じずにはいられないのです。と言いますのも、転職してからしばらくして、桜井先生から、この『塀の中の美容室』がコミカライズされることをうかがいしました。

 そのコミカライズを刊行しているのが、なんと弊社・小学館。コミカライズが決まった当時、私は別の会社で働いておりまして、このコミカライズの企画には、当然まったくかかわっていなかったのですが、まさかその2年後に、こうしてそのコミック版を刊行する出版社に転職することになるとは……当時の私は夢にも思っておりませんでした。

 まさに、ご縁を感じずにはいられません。

 そんな縁が深い桜井先生と、小学館転職後、はじめて立ち上げさせていただいたのが、『殺した夫が帰ってきました』という作品です。

 記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追うそのストーリーには、まさに、逃れられない様々な「縁」が描かれているように思います。

 あ、あれ……? 何やら最後、唐突に爽やかな縁が、ちょっとサスペンスな縁故や怨嗟になっているような気がしますが……そこは私の筆力のなさということで、ご容赦くださいませ!

 と、いうことで(!?)桜井先生が描く、新境地のサスペンスミステリー作品。どうかご一読いただければ幸いです。

 何卒よろしくお願いいたします。

──『殺した夫が帰ってきました』担当者より

殺した夫が帰ってきました

『殺した夫が帰ってきました』
桜井美奈

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