◎編集者コラム◎ 『始まりの木』夏川草介
◎編集者コラム◎
『始まりの木』夏川草介
『神様のカルテ』シリーズの著者、夏川草介氏が十年をかけて書き上げたライフワーク〝偏屈民俗学者・古屋神寺郎〟シリーズが、いよいよ文庫でお目見えとなります。
藤崎千佳は、国立東々大学文学部で民俗学を学んでいる。指導教官の古屋神寺郎は、足が悪いながらフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は日本中を練り歩きながら、〝現代日本人の失ったもの〟を問いかけてゆく。
「この世界には理屈の通らない不思議な出来事がたくさんある。科学や論理では捉えきれない物事が確かに存在する。そういった事柄を、奇跡という人もいれば運命と呼ぶ人もいる。超常現象という言葉で説明する者もあれば、『神』と名付ける者もある。目に見えること、理屈の通ることだけが、真実ではない」。
〝知〟の冒険が、いま始まる。
少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と
ヒトの心の物語です。
――夏川草介
カバーイラストは、絵本作家のいせひでこさん、解説は倫理学者の秋元康隆さんにお寄せいただきました。
生きること、学ぶことの意味を問う、令和の〝遠野物語〟です。
世界40カ国に翻訳出版されている夏川さんのロングセラー『本を守ろうとする猫の話』と合わせてお読みになることをおすすめいたします。
四季折々の青森、東京、長野、京都、高知をめぐる旅の本としても、お楽しみください。
──『始まりの木』担当者より