◎編集者コラム◎ 『県警の守護神 警務部監察課訟務係』水村 舟

◎編集者コラム◎

『県警の守護神 警務部監察課訟務係』水村 舟


『県警の守護神 警務部監察課訟務係』写真
水村舟さんの本棚の一部

 2024年夏、第3回警察小説新人賞の選評が〝バズった〟ことを覚えていますでしょうか。

『創設以来初の〝受賞作なし〟となった警察小説新人賞、厳しくも愛ある選評が素晴らしい「作家になりたい方みんな読んで」』

 というタイトルでTogetter にもまとめていただきました。

 私は最終選考会で書記的なことをしながら議論を拝聴していました。編集者としても大変勉強になる、そして時に耳が痛く、最後にはモチベーションがあがる、そんな時間でした。

 では、同選考委員で行われた2023年の第2回警察小説新人賞はどうだったのか。私は同じく書記的なことをしていましたが、

「『県警訟務係の新人』の方、法律に詳しく、警察にも詳しい。何者なんでしょうね」と、どなたかが発言されていたことを覚えています。

 その後、白熱の議論を経て、見事その「県警訟務係の新人」が受賞作となりました。『県警の守護神 警務部監察課訟務係』と改題し刊行され、この度いよいよ文庫になります。

 著者・水村舟さんの正体は、法律にかかわる仕事をしている警察マニア。今野敏さんの選評にも「さりげない警察のディテールに驚かされる」とありましたが、水村さんは全国都道府県警の採用サイトまで常にチェックしているのだとか。

 そんな水村さんが題材に選んだのが、警察が訴えられた際に登場する部署・訟務係でした。実は、警察官が被告席に座ることは珍しくありません。不当に犯人扱いされた、警察官に怪我させられた、車を傷つけられた……警察官の仕事は、常に訴訟と隣り合わせです。

「加害公務員」とされてしまった元競輪選手の新人警察官・桐嶋千隼、元裁判官で弁護士資格を持つ巡査長・荒城勇樹という異例の経歴の2人に加え、さらに意外な過去を持つクールな女性警察官・国田リオ(堂場瞬一さんいわく「国田リオはさらにぶっ飛んでる」/巻末収録対談より)の3人が、それぞれの正義をぶつけ合いながら任務を全うする様子、そして息もつかせぬ展開と法廷劇──今までにない警察小説をお楽しみください。

──『県警の守護神 警務部監察課訟務係』担当者より

県警の守護神
『県警の守護神 警務部監察課訟務係
水村 舟
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