◎編集者コラム◎ 『ぼくはなにいろ』黒田小暑
◎編集者コラム◎
『ぼくはなにいろ』黒田小暑

皆さんは自分のことが何色に見えていますか?
肌色ですか? ピンク色ですか? 黄色ですか? それとも?
今作の主人公・祥司は、過去に交通事故に遭い、体に大きな傷を負って以来、自分の右半身が紫色に見えていて、自分のことを「化け物」だと感じています。
人とかかわらないように、ずっとひとりで孤独に生き続けてきた祥司。
そんな祥司に、あるとき一筋の光が差し込みます。それは、居酒屋で出会った、同年代の女性でした。
一見快活でやさしい性格の千尋ですが、千尋はある過去のトラウマから、対人接触恐怖症に悩まされており、人と接触することができません。
そんな二人の関係は、どのように深まっていくのでしょうか。
普段、自分や他人のことをどう捉えているのか。それがどれほど曖昧なものなのか、ということを考えさせられる作品です。
この作品は、黒田小暑さんと何度も何度も打ち合わせをして、十数回も改稿を重ねてできた結晶のような作品です。中島花野さんの美しいイラストはそのままに、文庫化することができました。
また文庫版では、巻末解説を映画監督の戸田真琴さんにお書いただきました。帯には千原ジュニアさんに推薦コメントを寄せていただいています。
人の寂しさや孤独を、軽い筆致でリアルに、ものすごく切なくエモーショナルに描ける作家、黒田小暑さんのデビュー第2作。未読の方も、既読の方も、文庫版でもぜひお楽しみください。
──『ぼくはなにいろ』担当者より




