ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第125回
電柱工事のためこれから
我が家は停電するらしい。
この真冬に正気の沙汰ではない。
しかし停電により暖房器具は一切の活動を停止するが、こちらにはオフトゥンという古より我々に暖を与え、時間を奪ってきたアーキファクトが残っている。
どうせ電灯も全て消えるのだから、2時間の間、潔く寝を決め込むのも十分ありだ。
おそらくそれまでにスマホを充電しておけば、オフトゥンの中でスマホをいじり続けるというのも良いだろう。
そう考えると、居酒屋のメニューに「飯」を見つけた井之頭五郎の如く、停電の2時間が急に「ごきげんな平日午前」として領域展開してくる。
しかし、私は確かに平日午前に家にいるグリッチだが、やらなければいけない仕事はあるのだ。
災害時にどうやって会社に行くかをまず考えてしまう人間と同じで、停電時にどう仕事をするかを考えるのは真面目ではなくただの病である。
停電の中、iPad の光で顔を下から照らされて毛布に包まっている中年など、令和の悪霊でしかないし、iPad も丸の内のスタバで使われている同胞と自分を比較して自害してしまうかもしれない。
こういう時に「クソして寝る」と即決できる人間が健康なのだ。
ただしオール電化の場合、停電するとクソも流れなくなるので注意が必要である。
この原稿を停電までに終わらせ、停電したら寝る、というのが一番スマートだが、すでに停電まで1時間半しかなく、そんなに計画的に動けるなら、平日午前中に家にいるタイプにはなっていない気がする。
そういえば、2月と言えば確定申告シーズンの到来であり、漫画家含むフリーランスが、ここから事務作業に追われることとなる。
ここで頷いたフリーランスは「フリーランスのくせに2月段階で確定申告に向けて動く異端」として、自治体によっては即射殺の恐れがある。
フリーランス1年生は初めての確定申告自体に躓くことも多いが、この「2月トラップ」にも気を付けてほしい。
確定申告は3月になってから「シーズン」である。
もちろん私もそう思っていたのだが、昨日税理士から「はよ」という電話が来たため、急いで準備をしているので、雪が解けるころには射殺されているかもしれない。