ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第130回
漫画新刊の発売が決定した。
センスが終わっている編集者と、
応援してくれた読者のおかげである。
時節柄、入社したもののミス続きで落ち込んでいる新入社員の人も多いと思うが、逆に失敗枠採用者として存分に活躍していると思って欲しい。となりで活躍している同期も自分がいなければ輝き半減なのだ。
実際、私が新卒で入社した会社は女子の新卒採用が私含め2人であり、その同期は1年足らずで社員4人に告られたと言っていたが、私が同期入社してなかったら2人ぐらいにしか告られてなかったと思う。
無駄にフラれる奴を2人多く発生させたとも言えるが、彼女は私のおかげで自己肯定感がかなり上がったはずである。
ちなみにその後、中途で同年代の女子社員が入ってきたが、その子も告られていたので、私の失敗枠としての才能は本物である。
しかし、同期も中途も何故か私より先に辞めてしまい、私も輝かせる存在を失って「ひたすら単体で失敗し続ける人」と化したので、その会社は8か月で辞めた。
やはり、成功と失敗はニコイチであり、どちらが欠けてもダメなのだ。「うちの雑誌には失敗が足りない」と感じている編集部は私に一報いただきたい。
ともかく、ここに来てデビュー作の刊行数を超えることができたので、描き続けている限り、何歳になっても上向く可能性がゼロではないのも漫画の良いところだと思う。
だからと言って、巻数が少ない作品は失敗作というわけではない。最初から少ない巻数でまとめることを想定している作品も多いのだ。
ちなみに私はそういう想定だったことはあまりなく、どれも続けろと言われれば100巻まで続ける気持ちで始めて3巻ぐらいで終わっている。
ここまで続けられたのは、どこの編集部にも1人はいるセンスが終わっている編集者と、応援してくれた読者のおかげである。
しかし15年も続けていれば読者にも変遷があり、最近になって読者になってくれた人もいれば「昔は好きだったが、妙に社会派ぶりはじめたところから追うのをやめた」という人もいるだろう。
寂しいことではあるが、自分とて「今でも森脇健児の熱狂的ファンなの?」と聞かれたら、今はそこまで追ってないと答えざるを得ないので、推し変を責める資格はない。