ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第25回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第25回

作家には仕事を見極め、
時に「断る」という判断も必要だ。

最近ツイッターで「PR漫画」が話題、というか炎上している。

詳しい詳細は書かない、書きたくないわけではなく、何かこの話は別のところで書かされそうな気がしてならないからだ。
簡単に言うと、いろいろ甘い仕事を受けた結果炎上し、作家だけが矢面に立たされ大損をこいた、という話である。

受けた作家も迂闊と言えばそこまでだが、やはり同じ作家としては同情を禁じ得ない、というか全く他人事ではない。
実際、同じ仕事が来ていたら何も考えずに受けて、このコラムも謝罪からはじまっていたかもしれないのだ。

心配しなくても、そんな依頼は全く来ていないが、今後来ないとも限らない。

つまり、作家には仕事を見極め、時に「断る」という判断も必要ということである。

昔から「漫画家はバカには出来ない」と言われているが、この魑魅魍魎が跋扈する炎上社会、マネジメント的な意味でもバカには不可能な仕事になりつつある。

地頭が良くて、管理能力があったらまず「漫画家になる」などというミスは犯さない気がするが、ネットの人たちは失敗に厳しい。「漫画家のやることですから」というワケにはいかない。

「知らなかったではすまされない」と言われればそうなのだが、人間というのは動物の中でほぼ唯一「教えられなきゃセックスの仕方がわからない」という下等生物である。

おセックス様でさえそうなのだから、世の中、何年生きてもマジで知らないことばかりである。
いつ自分がやるかわからないという意味で、故意ではなく本気で知らずにやらかしてしまった人を責める気にはあまりなれない。

よって「知らなかった炎上」を防ぐため、技術だけではなく「漫画家がやってはいけない炎上仕草」とか「受けてはいけないクソ仕事」などのビジネス講座も開いてほしい。
しかし、これに参加するのは、元々危機管理能力があるタイプだろうから、多分無意味だろう。

私も、来た仕事は何も考えずにとりあえず「やります」と言ってしまう方である。
仕事が来るのは基本的にありがたい。何せ漫画家というのは仕事がないと餓死する。 もはや仕事依頼は「嬉しい」ではなく「助かった」のレベルなのだ。

だが、小銭のために今後の活動に影響が出ては本末転倒だ。今後はもう少しよく考えてトラブルになりそうな仕事は事前に断らなければいけない。

 

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カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

◎編集者コラム◎ 『突きの鬼一 雪崩』鈴木英治
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