ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第31回
漫画が絶滅するということはなさそうだ。
だが、自分が作家として終わることは十分にある。
現在どこを見てもコロナウィルスの話題ばかりである。
危うく平成が終わることにも気づかなかった私が「今コロナがアツい」と把握している時点で、これは大ごとだということが窺える。
しかしコロナの症状というのは「便所紙を巡って骨肉の争いを繰り広げだす」「ドラッグストアの店員を本気で詰めはじめる」というものではないはずだ。
コロナの脅威に過剰反応した人間が、必要以上に大ごとにしてしまっている、と言えなくもない。
しかし、罹患せずとも、ウィルスの影響で、日常生活に支障を来したり、大きな損害を被った人も多くいるのだから、冷静でいろというのも無理な話かもしれない。
今回の騒動で、イベント業者や、酪農業界、など様々な分野が被害を受けたという。
漫画はどうだ、と聞かれたら、基本的には影響ない。
そもそも漫画というのは描くのも読むのも室内で出来る。完全に屋内で完結している娯楽である。
たまに、カフェとかで仕事をしている作家もいるが、あれも外じゃないと仕事が出来ないとか、家がない、とかではなく、家にいると永遠にツイッターをやってしまったり「思い立ったがオフトゥン」をやってしまうから、外に出ているだけだ。
よって漫画は休校や外出禁止が相次いでいる今、逆に需要が高まってもおかしくない分野である。
よってこれを機に「なんと部屋で読める」という世界一低いセールスポイントで自作の宣伝をしている作家も私含め多く、また「慰めになれば」と、無料公開をはじめる者も少なくない。
お前はしないか、と言われたら、施しというのは基本、被害を受けてない側が受けた側にすることである。
基本的に漫画家は被害を受けていないと言ったが、受けている奴だっているのだ。少なくとも今まさにここにいる。
3月下旬、完全に他社から漫画の単行本が発売するので、それに伴い、それなりの規模のイベントをいくつか開催する予定であった。
それが、コロナウィルスの影響で全部ふっ飛んだのである。