ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第37回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第37回

漫画とSNSでの宣伝は
切り離せない。
連載の延命に成功する例もある。

ちなみに1つ気になっていたことがある。

私の他にコロナで困っている作家はいねえのか、ということである。
前回の原稿を書いた時点では、コロナで本が売れず打ち切られそうだから、助けてくれと言っている作家は見た限り私以外いなかったのだ。

もしかして、他の作家はコロナとかお構いなしに通常通り本が売れているということなのだろうか。

もしそうだと言うなら、連載をやめるかやめないか以前に漫画家をやめた方がいいレベルの話である。

そう思っていたのだが、しばらく経って、同じくコロナの影響で本が売れず打ち切りに瀕しているので助けてほしいと言っている作家さんの姿を確認したので、正直なところ「安堵」した。
安堵だけしては申し訳ないのでリツイートもした。

その後、他の編集からも「同時期発売した他作家の本の売り上げが軒並み悪く心苦しい」と教えてもらったので、さらに安心した。

このように間違いなくコロナウイルスは本の売り上げに影響を及ぼしているのである。

真面目な作家は「コロナは関係ない、己の実力不足」と受け入れてしまうかもしれないが、それはもったいない。

むしろ「コロナがなくても売れてなかった気がする」と薄々勘付いていても「コロナの影響」と言い張って主張すれば、逆にそこから注目が集まる可能性もある。

よってコロナ時期に本を出してダメだった作家は納得いってないならダメ元でも言った方が良い。

それも早めに言った方が良い。
今後コロナ打ち切りも数が増えれば、拡散力は当然落ちる。

何事もやったもの勝ち、早い者勝ち、そして結果が出なければすぐ切られる。
10年前よりとにかくスピード感が増してしまっているというのが現在の漫画業界である。

ハクマン_37回

(つづく)
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カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

【2020年の潮流を予感させる本(12)】ニケシュ・シュクラ 編、栢木清吾 訳『よい移民 現代イギリスを生きる21人の物語』/「有色人」として生きることとは
◎編集者コラム◎ 『脱藩さむらい 切り花』金子成人