ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第47回
漫画家にとって
決して他人事ではない。
また作家には炎上案件を引き受けてしまう以外にも「詳しくない分野」の仕事を受けてダメージを負うケースがある。
漫画家にはあまり詳しくなかったり、時には「やったことがないゲームのアンソロ依頼」などが来ることもたまにあるのだ。
もちろん作家も、仕事を受けるにあたり、ゲームを実際プレイしてみたり、資料を読んだりと作品を勉強してから描くのだが、なにせ付け焼刃にすぎない。
そして、そのアンソロを読むのは作品のファンなのだ。
作者すら忘れているようなことをいつまでも覚えているのがファンというものである。
よって「このキャラはこのキャラを『さん』づけしねえよ、デコスケ野郎!」と細かい詰めの甘さにすぐ気づいてしまうのだ。
公式のチェックは受けないのかというと間違いなく「受けている」。
だが何度でも言うが「公式より詳しい」のがクソオタクなため、監修が見逃した部分さえ見つけ出してしまうのだ。
そして結局「ゲームをプレイしたこともないエアプ作家が描いてんじゃねえよ」と作家が批判されてしまうのである。
私もクソオタの端くれである。自分の好きな作品のアンソロは同じくその作品を好きな作家に描いてもらいたいという気持ちはある。
しかし自分が描く側になってみると、たとえ詳しくない分野でも「あなたに描いてほしい」と来た仕事を「良く知らないから受けられません!」と断るのは、よほどのガッツと銀行残高が必要なのである。
よって「詳しくはありませんが今から勉強して描かせてもらいます!」と言って引き受けてしまう場合が多いのだ。
知らないのに受けたり勉強不足の作家にも非はあるが、知らない作家に依頼し、監修で見逃しているクライアントにも責任はあると思うので、どうか作家個人ばかりを責めないでいただけると幸いである。
あと「自分の解釈と違う」という理由でも怒らないで欲しい。クソオタとして気持ちは痛いほどわかるが、何卒ご容赦いただきたい。
(つづく)