スピリチュアル探偵 第9回
オーラが見えたりチャクラを開いたりできる?
アニメ声のエンジェル登場!
どうやらスピリチュアルにも旬の時期というのがあるようで、年末年始はまさにそれにあたるタイミングだと感じます。
新年を迎えるにあたって運気の流れを占うコンテンツが激増し、年が明ければ神社に初詣の参拝客が殺到する。日頃は神道に見向きもしない人でも、これが宗教的儀式であることをさておいてイベントとして楽しんでしまうのですから、もはやレジャー化している感さえあります。
実は初詣とは、明治初頭から国家神道推進のために推奨され始めた政策的行事なのだそう。江戸幕府解体後の新政府が、国をまとめる手段として神道を利用したわけですね。つまり初詣は予想外に新しいイベントで、そうなると経済効果を見込んで成長したバレンタインデーやハロウィンと同じ匂いがしてきます。
……などとドライなことを言っていると運気が下がりそうで怖いのですが、今回も参りましょう。
〈CASE.9〉〝天使の使い〟を名乗る美少女系霊能者
突然ですが、皆さんは「天使」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
人によっては溺愛する我が子を天使と表現したり、あるいはドハマリしているキャバ嬢を天使と崇めるオッサンも存在していますが(そういえば、キャバクラ通いが過ぎて「今月はエンジェル係数が高くてやばい」などとぼやいていた先輩がいましたっけ)、一般的には背中に翼を持ち、頭の上には光の輪っかが浮かぶ子供の姿が思い浮かぶはず。
数年前の年始の頃、新年会で顔を合わせたスピリチュアル系に詳しい女友達に、「誰か腕のいい霊能者に心当たりない?」と何気なく振ってみたところ、思わぬ答えが返ってきました。
「霊能者は知らないけど、天使なら紹介できるよ」
「は?」
「その人、天使なんだって。ヒトじゃなくて」
「すると、背中に羽が生えてたり?」
「いや、見た目は普通の女の子だけど、オーラが見えたりチャクラを開いて肉体を活性化したりはできるみたい」
なるほど、あの手この手とよく考えるものだなあと感心しつつ、西洋色の強い天使と、アジア感の強いチャクラのセットはどうなのだろうかと疑問を覚える僕。
しかし調べてみると、天使はキリスト教やユダヤ教だけでなく、イスラム教の聖典にも登場するようです。いずれも神の使いとして描かれ、「御使い(みつかい)」と呼ばれることもあるのだとか。
これはもう、百聞は一見にしかずでしょう。さっそく友人を介してアポイントを要請。まさか本物の天使にお会いできる日が来るなんて。
友清 哲(ともきよ・さとし)
1974年、神奈川県生まれ。フリーライター。近年はルポルタージュを中心に著述を展開中。主な著書に『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『一度は行きたい戦争遺跡』(PHP文庫)、『物語で知る日本酒と酒蔵』『日本クラフトビール紀行』(ともにイースト新書Q)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。