◎編集者コラム◎ 『鴨川食堂ひっこし』柏井 壽

◎編集者コラム◎

『鴨川食堂ひっこし』柏井 壽


鴨川食堂ひっこしコラム写真
番外編のイラストは豪華にも、小森のぐさん・植田まほ子さん・坂本ヒメミさんのお三方に描いていただきました!

鴨川食堂ひっこし』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作品の編集を担当しましたA田と申します。

鴨川食堂』は依頼人の「もう一度食べたい」を叶えるべく、料理人の流と探偵のこいしが「思い出の味」探しに奮闘する物語です。

「次の巻はいつでるの?」という読者様からのお問い合わせも多い人気シリーズですが、10作目となる本作では、ふいにやってきた食堂の立ち退き話から物語がスタートします。

 移転か店じまいか。食堂の行く末を流とこいしが悩むなか、第二の人生も意識し始めた流が、今は亡き妻・掬子と食べた「紅白餅」を探してほしいと、こいしに依頼します。はたして、ふたりが食べた「紅白餅」には、どんな思い出があったのか……。

 そんな本作ですが、物語の本編が面白いのはもちろんのこと、今回は記念すべき10作目ということで、流・こいし親娘が実在する各地の名店を巡る「鴨川食堂おでかけ」という番外編も収録されています。

 この番外編に出てくるお料理が、またどれも美味しそうで美味しそうで……。

「上に掛けたぁるケチャップをスプーンでのばして、ちょこっとだけソースを掛けて――」柏井先生の匠な食描写を読んではお腹が減り、それに華を添えるあたたかなイラストを見てはお腹が減り、お店の情報を調べてはお腹が減り……と、編集作業をしながら何度も何度も生唾を飲み込みました。

 中でも特に食べてみたいなと思ったのが、こいしが京都で焼肉といったら「ここ!」とオススメする「天壇」さんのお肉でした。

 何でも、天壇さんには「黄金のタレ」というものがあって、タレ漬けの肉を焼いた後さらにこの黄金色のタレにくぐらして食べるんだとか……(た、たた、食べてみたい!!)。

 他にも「京都の中華そば」「佐世保のアジフライ」「名古屋のイタリアン」など、各地の名店がたくさん紹介されています。

 春になり、おでかけがどんどんと楽しくなってくる今日この頃。本作を片手に紹介されたお店様を訪ねてみれば、素晴らしい一時になること間違いなし! ではないでしょうか。

 書店様の店頭で見つけていただいた際は、ぜひ、この番外編にもご注目ください。以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました!

──『鴨川食堂ひっこし』担当者より

鴨川食堂ひっこし

『鴨川食堂ひっこし』
柏井 壽

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