◎編集者コラム◎ 『勘定侍 柳生真剣勝負〈二〉 始動』上田秀人

◎編集者コラム◎

『勘定侍 柳生真剣勝負〈二〉 始動』上田秀人


始動

 歴史時代小説で不動の人気を誇る上田秀人先生が、小学館時代小説文庫に初登場してから早半年──。

 その初登場作品、令和初の新シリーズ『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉召喚』ですが、おかげさまをもちまして、発売即大重版となりました!

 そして、満を持して、第二巻『始動』が、ついに発売!! シリーズ累計13万部突破!!!

 これもひとえにファンの皆様あってのことと、心より感謝申し上げます!

 さて、第一巻『召喚』で柳生家当主の宗矩が、諸役人の行動を監察する役目を負っている惣目付から藩の内政に難癖を付けられないよう、大坂一と言われる唐物問屋、淡海屋七右衛門の孫・一夜を召し出したのは、みなさまご存じの通り。

 その一夜、柳生新陰流の剣豪にして、惣目付時代には随一の実績を誇る宗矩の隠し子だけあって、ただならぬ切れ者であることが、本巻で明かされます。

 柳生藩の懐具合を詳細に調べて、殖産興業を計画したり、京都の市場で大きな商談したり、やることなすこと、まったく卒がありません。

 しかも、江戸へ向かう旅の途中では、怪しげな牢人連中に命を狙われ、人生初の大立ち回りすらやってのけてしまいます。イヤイヤながらも柳生家嫡男の十兵衛に稽古をつけられた甲斐があったというものでしょう。

 一方、惣目付を解任されたうえ、三代将軍徳川家光に押し付けられた無理難題、会津藩加藤家国替えに頭を抱えているのが、父親の宗矩。

 そんな父子ふたりが二十年の時を経て、ついに対面。

 大坂弁の一夜と江戸弁の宗矩との、丁々発止の台詞のやり取りが行われ、意外な結果を呼び込みますが……。

 一夜の嫁の座を狙う、信濃屋の三人小町。騙し合う甲賀と伊賀の忍者たち。それぞれの思惑が交錯する、波乱万丈のシリーズ第二巻をぜひお楽しみください。

──『勘定侍 柳生真剣勝負〈二〉 始動』担当者より

今月のイチオシ本【警察小説】
サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』/日本をこよなく愛する日独ハーフが書くニッポン論