◎編集者コラム◎ 『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚』上田秀人

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『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚』上田秀人


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 押しも押されもせぬ歴史時代小説の雄、上田秀人先生がついに小学館文庫に初登場です。

 しかも、時代小説文庫創刊第一弾のラインナップに入っていただけたうえに、書き下ろし新シリーズ第一作ともなれば、恐悦至極の一言に尽きるのは言うまでもないでしょう。

 先生の粋な計らいに応えられるよう、こちらも努力精進しなければ武士の面目が立ちません。

 そこで早速、本書の読みどころをご紹介したいと存じます。拙文は何卒ご勘弁賜りたく、平にご容赦を。

 シリーズ第一作の『召喚』は、寛永十三年が舞台。当時は、徳川第三代将軍家光の治世下にありました。

 物語は、惣目付を務める柳生但馬守宗矩が、突然江戸城黒書院に呼び出された場面からはじまります。

 柳生といえば、ご存じの通り、剣術の柳生新陰流で有名な一族です。

 小説や漫画、映像などの創作物では、なぜか悪役に回されがちな柳生一族ですが、それはきっと惣目付や将軍家剣術指南役を仰せつかっていたため、「権力にべったり」、そう受け取られていたからでしょう。権力者が悪役なのは、いつの時代でも一緒です。

 しかし、本書の柳生一族は、六千石の旗本から加増され、一万石の大名となったことから、逆に監視される側へと立たされてしまいます。

 なぜなら、大名を監察するのが惣目付の役目であり、旗本しか任命されないためです。

 つまり、宗矩は大名に格上げされたけれども、老中に呼び出されて惣目付を解任されてしまったわけです。

 惣目付時代に多くの大名から恨みを買っている宗矩は、痛くもない腹まで探られるのは必至。なにしろ旗本から大名になれば、暮らし向きが大きく変わるため、武士が苦手とする金勘定に隙が生まれやすい。

 下手を打てば転封、最悪改易もありえる状況下、宗矩は一族最大の危機に立ち向かうべく、とんでもない秘策を思いつきます。

 なんと、大坂一と言われる唐物問屋・淡海屋七右衛門の孫・一夜(かずや)を召し出すというのです。いったい宗矩と一夜は、どんな関わりがあるのでしょう。

 宗矩の嫡男・十兵衛は十兵衛で、無理やり武士にした一夜に、剣術指南役・柳生家の者として剣術を身につけよと、強引に指南するのですが……。

 柳生一族の陰謀に巻き込まれた大坂商人の一夜は、襲いかかる剣と算盤に対して、どう闘うのでしょうか。

 令和最高の新シリーズは、これまでのファンも必ずご満足いただける、一味違う傑作です。ぜひご堪能ください。
 

──『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚』担当者より

 

勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚

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