◎編集者コラム◎ 『海が見える家 それから』はらだみずき
◎編集者コラム◎
『海が見える家 それから』はらだみずき
『海が見える家』(前作『海が見える家』については、こちらをご覧下さい)が、夏の定番として14回の重版と四度目の季節を迎えることができました。それはひとえに店頭においてくれている書店員さんと読者のおかげです。この場をお借りして御礼申しあげます。
そんな絶賛ロングセラーを続けている前作の『海が見える家』なんですが、かつて、「主人公は仕事からも都会からも逃げただけじゃないか」という辛辣な感想をいただいたことがありました。それは「そんな読まれ方をするのか」という驚きを伴った、喉につかえた魚の骨のような痛みを伴う記憶として残っています。
続編を依頼した際、はらださんの心の中では、その感想に対するアンサーを書こうという意図があったのでしょう。本作の冒頭は、
「会社を辞めたあなたは、田舎に逃げたに過ぎません」
という、元カノからのメールではじまります。
南房総に移住して一年。なんとか食いつないでいるだけの主人公は、このメールをきっかっけに「働く」ということに向き合っていきます。果たして、どんな一歩を踏み出すのかは、読んでからのお楽しみ。たくましく成長していく文哉を、是非応援してください!
折しも、新型コロナウイルスが猛威をふるう中、通勤を控え、在宅勤務を推奨されたりと我々の働き方も問われる時代です。テレワークがこのまま容認されるのならば、地方移住も選択肢に入ってくるでしょう。本作の舞台、南房総で暮らすことも。
そんな妄想を抱きながら、本書で、都会では感じることができない〝海が見える家〟での暮らしを楽しんでいただければ幸いです。
──船長より