HKT48田島芽瑠の「読メル幸せ」第31回
第31回
11月になりました
やっと少しずつ少しずつですが仕事が戻ってきました。新劇場がオープンしたり、イベントや収録なども増えてきてお仕事が有る事の有り難みをヒシヒシと感じております。皆さんはいかがお過ごしですか?
今年は寒くなるのが早い感じがしています。去年よりは絶対に早い!去年は12月頃だったのに、今年は11月初めにはコートデビューをしました。寒いのは得意な方ではないので(冬生まれだけど)布団の中で縮こまってます?
夏が終わる時は凄く寂しかったけど、いざ秋が始まると秋服は可愛いし、秋の味覚は最高だし、紅葉は綺麗だし、イルミネーションはワクワクするし、結局秋も冬も春も夏もぜーんぶ好きだなと思いました。四季が楽しめる日本に生まれてよかった!
さてさて今回ご紹介するのは発売されたばかりのこの一冊。
垣谷美雨さんの『希望病棟』です?
こちらは『後悔病棟』の続編となります。
前回の『後悔病棟』では私、田島芽瑠が帯コメントを担当させていただいたんです!夢のようでした? またしたいな? その作品の続編という事でワクワクしながら手に取りました!!
〈簡単なあらすじ〉
人付き合いが不器用すぎる女医・黒田摩周湖はいつも余計な一言を言ってしまうせいで人々と上手く馴染めずにいる。本人に悪気はなく、患者を思っての言動ゆえに言葉のチョイスの下手さにムズムズする。そんな摩周湖は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器は、聞こえるはずのない患者の〝心の声〟が聞こえる不思議な聴診器だったのだ。母親に捨てられ、児童養護施設で育った桜子。桜子と同じ病と闘う代議士の妻貴子。なんと貴子は過去に子供を捨てたことがあるらしい…。常に孤独を感じ大人を信じようとしない桜子、自分の環境に生きづらさを感じる貴子とそんな2人に向き合うちょっと変わった女医黒田摩周湖。3人の糸が交わりほつれてまた交わりその中でそれぞれが感じる〝自分らしさ〟を見つけていく物語。
流石、垣谷先生です? テンポとリアルさが素晴らしい。まるで映画のように鮮明に脳内スクリーンに浮かび上がる。誰もが経験した事のあるだろう人間同士のあの独特な気まずさ、顔色を窺うあの感じをヒシヒシと感じて登場人物達に共感してしまう。そこからのストーリー展開がまた想像と全然違って、そう来るか!面白いな!って素直に思います。
自分のしたい事をしたいようにやるって実は相当難しい事で、特に社会に出て大人になっていくと益々我慢ばかりの人生になっていきます。「しょうがない」「だって」と、後々の事を考えると、意見を飲み込むしかなくて息苦しさやモヤモヤを感じてる方もいますよね?この作品の登場人物達もまさしくそうなんです!キラキラした希望ではなく、現代を生きる私達に向けたどんよりした雲にうっすらと柔らかい光が見えてくるような包み込む希望をくれる作品です。
私の職業って一見華やかでキラキラしてて苦労なんてないんだろうなと思われがちなんですよ。実際、悩みとか話すと「アイドルでも悩みとかあるんですね」って言われる事もあります。そういう時思うんです。人は皆一緒だって。桜子ちゃんは大学に進学するお金がなくて必死に悩み、貴子さんも夫と姑にいいように使われ自分の居場所を求めてる。他の登場人物達もみんなそう。何かを抱え、何かを成す為に必死にもがいて生きている。そこには富も名誉も関係ない。その地位にはその地位なりの悩みがあって、みんな一生懸命生きている。そう思うだけで、私は心が楽になります。
頑張ってるのは私だけじゃない。希望がないと思う毎日も自分の行動で光を見つける事がある。綺麗事に聞こえるかもしれません。私も暗闇の時期は思ってました、「私だけどんだけ頑張っても報われない」「見放されてる」「希望なんかあるもんか」「そんなの自分が輝いてるから言える事だ」と。でも断言できます。
自分を変えるのは自分しかいない。家族でも友達でも赤の他人でも誰でもない。変わりたいなら自ら飛び込む勇気だって。確かに支えも必要です。でもそれは自分を美味しく仕上げるスパイスみたいなものです。ルーがないといくら美味しい具材を入れてもカレーはできません。変わろうと思うその意識で人は絶対変われます。私だってまだまだ変えたいです。焦ることはありません。ただ、頭の片隅に「変わる」をインプットしておくだけです。気付いたらいつもと違う自分になれますよ。読了後、こんな熱い想いにさせてくれました。この本に出合えてよかった。
皆さんも是非読んでみてください。
自分の今と重ね合わせて、ゆっくりとこの本と向き合ってみてください。きっと読了前とは違う想いが生まれると思います。
素敵な本の旅を。田島芽璢でした。
(次回は12月中旬に更新予定です)
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