田島芽瑠の「読メル幸せ」第66回
第66回
10月になりました🎑
だんだんと肌寒くなってきた今日この頃。いかがお過ごしですか?
9月23日でデビューして11周年を迎えました!
11年も歩んできたのだなと普段はあまり振り返ることのない道を眺め思いました。決して楽しいだけの道のりではなかった。先の見えないトンネルをひたすら歩くだけの時もあったり、前をゆく人を見て悔しく思うこともあった。そんな時そばにいてくれたのは、私を応援してくださる皆さんでした。12年目の今、お仕事が楽しいと心から思える自分がいるのはとても有難い環境だなと思います。大好きだと言えるお芝居に出合えたことにも感謝です。沢山のありがとうを胸にこれからも頑張ります!
「読メル幸せ」が始まって今回で5年5ヶ月になります。凄い事ですよね。5年以上も連載を続けられるなんて幸せでしかありません。毎月「来月の本は何にしようかな?」とワクワクしながら本屋さんに向かうのが日常になっています。そして1ヶ月を振り返りながら文字を打つ。物心つく頃から本に触れる生活をしていますが、仕事しながらもこうしてしっかり月に1冊以上読むのが習慣になっているのは小説丸さんのおかげです。本と私を繋いでくれる大切な場所。これからも続いていきますように。
いつも読んでくださる皆さんありがとうございます☺️✨
さて、66冊目となる今回の作品はこちら!
原田ひ香さんの『古本食堂』です。
ここと同じく本と人を繋ぐお話です☺️
東京の神保町で古書店を経営していた兄が他界し、経営を代わるために上京してきた妹の〝鷹島珊瑚〟が主人公で始まる物語。まず私の中で珊瑚さんの容姿のイメージ像が途中でガラッと変わった。私が勝手に想像して読んでしまっただけかもしれませんが、先入観って怖い!って思いました。とはいえ、作品に怖さはちっともありませんよ?(笑)本と人とご飯と、ほっこりする空間でした。
古本屋にまず初めにやってきたのは、珊瑚さんの親戚の美希喜ちゃん。親に言われて嫌々かと思いきや、知識がすごい!生粋の本大好きっ子だとシンパシーを感じてしまう。何もかもが初めての珊瑚さんのお手伝いをしながら、徐々に自分の進路を考えていく。悩みながらも出した答えが嬉しいラストでした。彼女の正直な所がとても好き。心の中のツッコミにクスッと笑ってしまいます。
鷹島古書店にやってくる人物は皆個性的で、誰もが何かに悩んで何かしらの答えを求めて戸を開く。求める先が本であることが素敵で、明確でないものにも指針を示してくれたり、誰かに気持ちを伝えるのにも味方になってくれて……私の大好きな本の魅力が詰まった作品で嬉しい気持ちになりました。
この物語の中で、人の悩みの解決には一冊の本と美味しいものがセットになっているんです。心が豊かになる材料が集まる場所、それが神保町なんだな〜。心地よい、色んな香りがする。この町に降り立って香りにつられて進めば鷹島古書店にたどり着く、そんな気にすらなる。言葉選びもとても素敵で、言葉が、本が、あらためて好きになりました。
本が好きな人、これから本が好きになりたい人、美味しいものが好きな人、みんなにおすすめしたい一冊です。
よい本の旅を、田島芽瑠でした。
(次回は2023年11月中旬に更新予定です)