田島芽瑠の「読メル幸せ」第67回
第67回
11月になりました🍂
上半期をのんびり過ごしていたこともあって、下半期は忙しくしたい!と声に出していたら本当に忙しくなって目まぐるしい勢いで2023年が終わろうとしている今日この頃。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
最近の秋は急に寒くなるのでいつの間に!という感じで体が追いつかない事もしばしば。先月は体調を崩してしまい、戦いながら毎日頑張っておりました。大人になるにつれなかなかスッと治ってくれなくなったなと感じるのは気のせいでしょうか……
今年はまだ紅葉を見られていないけどもう終わっちゃったのかな?笑
あっという間にイルミネーションの時期が始まりますね。皆さん体調にはくれぐれもお気をつけください。
さて、今回ご紹介するのは湊かなえさんの『カケラ』です。
湊かなえさんは中学生の頃からずっと作品を読み続けている大好きな作家さんです。
これぞ〝イヤミス〟。今回もじとーっと不穏な感じというか、良い意味で嫌な感じがする、惹きつけられる作品でした。
1人の少女の自殺から始まるこの物語は、基本私達が聞き手に回るタイプの作品です。全部で7章あるのですが、それぞれ7人の登場人物がひたすら話して、それを読者が聞くという構図。読み進めていくうちに人って、価値観も捉え方も人によって本当に全く違うなと改めて思いました。話の中での価値観の押し付け合いや勘違いに対し少しずつもやもやが溜まる。人間味をとても感じる作品です。本当にその人の話を聞いている気持ちになるし、内容がリアルすぎて惹き込まれる。これぞ、〝湊かなえさん〟だよなという安心の世界観。こういうザワザワっとした気持ちになるの、分かっているけど読んじゃうんだよなー。
1人1人の会話からちゃんと点と点が繋がっていって、最後にタイトルの意味が分かった時はなるほどってなった。私は今回休みの日に読み始めたのですが、一気に1日で読み終えてしまいました。集中できる日に一気に読むのが私的にはおすすめです!
この感じなにかに似てるなーって思いながら読んでいたのですが、解説まで読んだところでわかりました、『SNS社会』だって。聞き手がいて話しているという設定なのは分かっているんだけど、一方的に自分の考えをツラツラ話されて訴えかけられているように感じてしまう。当たり前だけど、自分が感じることや思うことってあくまで自分だけの感覚であって人とは違うことが多すぎるんだなと感じました。
人それぞれ異なる中で、カケラが、ピースがうまくはまる人と出会えることって本当に奇跡ですよね。
共に笑える友達との時間、何事も共有できる家族がいること、周りの存在に改めて感謝したいです。
もし、うまくカケラが合わさらなくてモヤモヤしたりイライラしてカーッとなった時に、この作品のことを思い出したい。
良い本の旅を。田島芽瑠でした。
(次回は2023年12月中旬に更新予定です)