田島芽瑠の「読メル幸せ」第68回
第68回
12月になりました🎄
いよいよ2023年も終わり!毎年この時期になると「え、もう一年終わるけどやばくない?」と会う人会う人に言っている気がします😂 今年は有難い事に下半期が特に忙しくて、明治座から始まり色々な場所で色々な方々とお芝居ができ、楽しく学びの多い一年でした✨今も絶賛次の舞台のお稽古中です!2023年ラストギリギリまでお芝居ができるので、良い締めくくりに、良い年越し年明けになるなと嬉しく思っています☺️
最後まで健康にお仕事するぞー!
さて、今年最後におすすめする本はこちら💁♀️
山本文緒さんの『ばにらさま』です。初めて山本先生の本を手に取ったのですが、こちらが最期の作品と知り、噛み締めながら読了しました。
人間味溢れる短編作品集でとても好きでした。
心情がしっかり語られていて人物像が想像しやすく、その人自身に入り込んだような感覚になれてすごく読みやすかったです。淡々と進んでいく生活描写がとても素敵で、あまり他の作品では描かれないようなところも細かく言葉で伝えてくださるからこそ、生活の細部や人となりが想像しやすいのではないかと思いました。本を読みたいけど何を読んだらいいかわからない!という方にもおすすめできる作品です📕
題名にもなっている「ばにらさま」は、冴えない主人公が〝白い恋人〟と過ごした時間を描いた儚い物語です。主人公はある事がきっかけで彼女の本心を知る事になるのですが、主人公の気持ちとのギャップに「うわぁ」となってしまいます。有りそうで無さそうな、ネットが絡んだ今っぽいお話なのでよりリアルに感じました。人の本心って、知りたいと思うけど知らなくていいことの方が多い気がします。〝知らぬが仏〟とも言いますもんね。人間関係ってどうしてこんなにも難しく面倒くさいものなのでしょう。正解のない、すっきりしない、日常が飾らず描かれた全5篇。これがリアルと思いつつ、読後はなんとも言えない虚しさも感じます。
私はこの連載のおかげで必ず月に一冊は本を読む生活をしています。どんなに忙しい日でも、本屋さんにいくとふっと肩の力が抜けて、「どの作品にしようかな」と本のことで頭をいっぱいにできる。そして手にした本を読んでいる時はその作品の世界に没頭できる。なんでもない日常の中に一冊本があるだけで、たちまちいい日になる。自分が生きていて味わえないような経験も、どこにでも溢れているような日常も、どんな世界も本が教えてくれる。活字離れが進む世の中ですが、私の人生を豊かにしてくれる本の魅力を少しでも多くの方に伝えたい。
だからこそこの場所が私はすごく好きだし、ずっと連載をさせていただけて有難いなと小学館さんにとても感謝しています。この連載を書いている時間がとっても好きです。月の終わりを感じるし、落ち着きます。
2023年も読メル幸せを読んでくださってありがとうございました!皆さんに会える時間がこれからも続きますように。
良いお年を。そして良い本の旅を。田島芽瑠でした。
(次回は2024年1月中旬に更新予定です)