ぼくはなにいろ

「推してけ! 推してけ!」第30回 ◆『ぼくはないいろ』(黒田小暑・著)
評者=戸田真琴(AV女優 ・文筆家・映画監督) 人間らしすぎるままで、傷口を重ねて 自分より脆い人のことは殴らないと決めている。壊れてしまうかもしれないから。ところが、脆い人間ほど他者への攻撃に暇がない。自らの加害性に気付くにも強さが要る。まさか、自分が他者を侵害しているだなんて、普通は受け入れたくもないからだ。それに
黒田小暑『ぼくはなにいろ』
「私」が生まれる前のこと 私が15歳のときに、私は生まれた。それまでの私は、体はすでにこの世にありながら、心はいまだ形すら出来ていなかった。当時から本だけはよく読んでいたものの、どこか陰気で、友達の輪に飛び込んでいけず、体もまだ貧弱だった。いまでも覚えているのは、小学3年の、クラスのレクレーションの時間にキックベースを