伊吹亜門
第13話 伊吹亜門「或る告白」 ある男を殺してやろうと思ったのがそもそもの始まりでした。いえいえ、お笑いになってはいけません。本当なのです。その男は古くからの知り合いでして、詳しい身上は伏せますが、兎に角私にとっては道義上許せない出来事があり、必ずこの手で息の根を止めてやるのだと固く心に誓ったのです。
時代のWHYを探して 第一二回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む『刀と傘 明治京洛推理帖』でデビューした伊吹亜門は、同作で第一九回本格ミステリ大賞受賞の戴冠に輝き、歴史本格ミステリの新鋭として注目を集めた。 幕末の京都を舞台にした第二作『雨と短銃』を経た、待望の第三作『幻月と探偵』は、時代がぐっと下る。舞台は第二次大戦前
晴明神社が近い堀川今出川の角に、是空というラーメン屋があった。
通っていた大学の近所で、しかも当時私が下宿していたアパートの数軒隣だったこともあり、学生時代には足繁く通った店だ。鶏ガラと豚骨の濃厚