恩送り 泥濘の十手

「推してけ! 推してけ!」第28回 ◆『恩送り 泥濘の十手』(麻宮 好・著)
評者=細谷正充(文芸評論家) 「第1回警察小説新人賞」受賞作!現世に光明を照らす人情捕物帳 麻宮好の『恩送り 泥濘の十手』に関しては、驚くことばかりだ。まず、「第1回警察小説新人賞受賞作」であることに驚いた。えっ、小学館が主催している警察小説専門の新人賞は、「警察小説大賞」ではなかったのか。慌てて調べてみたら、二〇一七
麻宮 好『恩送り 泥濘の十手』
走る子ども 塾講師として働いていると、子どもの発言に度々驚かされる。今年の夏頃のことだ。「先生、〝かけっこ〟ってなあに?」え? と思わず訊き返していた。相手は小学四年生。「かけっこ」を知らないなんてことがあるだろうか。からかわれているのだろうか。だが、こちらを見つめる目に揶揄するような色はない。あくまでも真剣なのだ。授