◎編集者コラム◎ 『恩送り 泥濘の十手』麻宮好
◎編集者コラム◎
『恩送り 泥濘の十手』麻宮好
2020年9月に「第1回日本おいしい小説大賞」の隠し玉『月のスープのつくりかた』で、作家デビューを飾った麻宮好先生。
類まれなる筆力でほぼ2年後の2022年7月、見事に「第1回警察小説新人賞」を受賞し、時代小説作家として颯爽と文壇に初登場しました。
その受賞作が本著『恩送り 泥濘の十手』です。
最終選考会の前にはすでに読み終え、「受賞間違いなし!」という感触があったので、
流れるような文体、各キャラクターの視点、そこから広がる江戸の風景描写が俊逸
相場英雄先生
堂に入った書きぶりで、江戸情緒、人物描写ともに立派なものです
月村了衛先生
この文章はすでにプロ級であり、読み手は安心して作品世界に身を委ねていられる
長岡弘樹先生
細部にまで目端が行き届いていて、登場人物を過不足なく使い切っているところが見事でした
東山彰良先生
と、全選考委員を唸らせて、満場一致で受賞するという快挙も、「さもありなん」という思いでした。
単行本刊行時には、シリーズ化を希望するレビューがとても多かったこともあり、編集長が文庫書き下ろしでのシリーズ化を即決、二巻目となる『日輪草 泥濘の十手』が、2024年3月発売で進んでいます。
読みどころはもちろん捕物なのですが、サブストーリーのヒロインおまきの恋愛模様、そして亀吉と要の少年ふたりの成長ブロマンスは、思わず目が潤んでしまうと思います。
超新星が描く江戸情緒を、どうぞシリーズでお楽しみください。
──『恩送り 泥濘の十手』担当者より